【2022年版】電子契約サービスの認知度と利用率に関するアンケート調査

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電子契約サービスの認知度と利用率に関するアンケート調査

溝口弘貴
本記事の企画・編集者
溝口 弘貴
つなぐマーケティング代表

インターネット上で、契約の締結ができる電子契約サービスをご存知でしょうか。

電子契約サービスは、ここ1、2年でテレビCMなどでもよく見かけるようになったため、 「利用したことがある/利用したことはないけど聞いたことはある」という方も多いはずです。

海外ではすでに電子契約の普及が進んでいますが、ハンコ文化が根強い日本でも政府が法整備をするなど、徐々に電子契約の普及が進んできています。

※2021年9月1日に「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(デジタル改革関連法)」が施行され、それまで書面での契約しか認められなかった不動産取引も電子契約が可能となった。

しかし実際のところ、電子契約の認知度や利用率はどれくらいなのでしょうか。

そこで今回は、様々な業界のビジネスパーソンを対象に電子契約に関するアンケート調査を実施しました。

【アンケート調査について】
調査対象:ビジネスパーソン(会社員、社長、個人事業主)
調査人数:414人
調査日:2022年1月10日~2022年1月15日
調査方法:インターネットによるアンケート調査

回答者の属性
回答者の業種

すでに8割近いビジネスパーソンが電子契約を知っている!

はじめに、電子契約がどれくらい広く認知されているのかを調べるため、「電子契約を知っていますか」と質問し、「はい・いいえ」の二択で回答してもらいました。

「はい」と回答した方が76.1%、「いいえ」が23.9%という結果になりました。

今回の調査では、8割近いビジネスパーソンが電子契約について知っており、サービス利用者以外の方にも認知が進んでいることがわかりました。

デジタル改革関連法の施行により、企業が電子契約に前向きになったということもあると思いますが、一時期よくテレビで流れていたCM効果が大きかったように思います。

電子契約サービスを導入している企業は4割以下

次に、どれくらいの企業で電子契約サービスが導入されているかを調べるため、「あなたの会社では電子契約を導入していますか」と質問し、「はい・いいえ・わからない」の三択で回答してもらいました。

あなたの会社では電子契約を導入していますか

「はい」と回答した方が21.7%、「いいえ」が60.9%、「わからない」が17.4%という結果になりました。

確実に電子契約を導入している企業は2割強でしたが、「わからない」という回答の17.4%を足しても、39.1%で4割を下回りました。

コロナの影響によりリモートワークが増え、契約なども電子化が進んだように思いましたが、実際には半数にも至っていないということがわかりました。

しかし、以下の業界別に導入率を見てみると、「金融・保険業」が71.4%で一番高く、次に「通信・インターネット業(36.8%)」「建設業(34.8%)」「製造業(29.0%)」と続きました。

業界によっても変わることがわかります。

業界別の利用率

会社で導入しているサービス、または利用したことがあるサービスは?

続いて、どの電子契約サービスが多く利用されているのかを調べるため、「会社で導入している電子契約サービス、または利用したことがあるサービスを教えてください」と質問し、国内の電子契約サービス15個の中から選択してもらいました。

会社で導入している電子契約サービス、または利用したことがあるサービスを教えてください

「一度も利用したことがない」という方が大半だったものの、「クラウドサイン、Adobe Sign、BtoBプラットフォーム契約書、DocuSign」等の利用者が多い結果となりました。

クラウドサインは、弁護士ドットコム株式会社が提供しているサービスで、テレビCMで流れていたため見たことがある方も多いのではないでしょうか。

電子契約はもっと普及すべきという人が大多数

「電子契約はもっと普及すべきだと思いますか」という質問をし、「はい・いいえ・わからない」の3つから選択してもらいました。

電子契約はもっと普及すべきだと思いますか

「はい」と回答した方が68.3%、「いいえ」が2.7%となり、電子契約の普及を望まない人は3%に満たない結果となりました。

「わからない」と回答した方も29%ほどいましたが、利用したことがないために判断がつかないといったところでしょう。

電子契約についての良い・悪い感想をご紹介

最後に電子契約について利用者には感想を、利用したことがない方にはイメージを自由記入方式で回答してもらいましたので、ご紹介いたします。

良い感想・イメージまとめ

電子契約の良い点としては、契約の締結がスムーズかつスピーディに済むこと、紙や管理コストを削減できることなどが挙げられました。

  • 契約のスピードアップに貢献、管理・保存が容易で紛失などの心配がない、契約書情報の共有化・透明化が進む
  • 原本が紙ベースではないので保管スペースの心配が不要
  • 契約に際しての時間が格段に早い
  • 導入が面倒くさいかもしれないと先入観がありましたが、実際利用すると便利です
  • 書類の持参・送付が不要なため効率が良く、また収入印紙が不要なため経費削減にもなりとても良いと思う
  • 送料などのコスト削減、社内進捗の可視化ができる
  • 遠方の企業とも直接訪問する手間や費用を省いて1時間以内など短時間で契約できる
  • 対面での契約ではないので、やり取りがスムーズなところは非常に良い
  • ペーパーレス化の時代なので、企業的には経費の削減や、時間短縮にもつながるので良い

悪い感想・不安なことまとめ

一方で、セキュリティや安全性への不安、自社内や取引先で使い方がわからない、慣れてないことへの不安などが挙げられました。

  • 契約書を確認する際にデバイスを使う必要
  • セキュリティやプライバシーなど配慮する点が増える
  • 電子契約業者のクラウドセキュリティに不安がある
  • バックアップを紙で用意するなどの実務が残る可能性がある
  • 読み合わせなどをしていないのでお互いの認識に誤解を生むこと
  • 簡単な売買契約などは電子契約を推進するべきだと思いますが、大きな金額が動く契約などはまだまだ難しい
  • 電子契約に慣れていない、または安全性に不信感のあるアナログ上司を説得すること
  • 先方が不慣れな場合は敬遠される、丁寧な説明が必要になる
  • 捺印がデジタルなので、効力あるのか心配
  • 地方ではあまり普及しない気がします
  • まだまだ電子契約に慣れていない取引先もある
  • 電子契約の社内ルール作成と実行(浸透)にハードルがある

利用者の声

  • 「コロナ禍ということもあり、ここ数年で一気に普及してきていると思います。それにより店頭でしかできなかった契約、来社して捺印しなければならない契約書といったものが不要になり、自宅で契約、処理できることが多くなりました。もちろん情報漏洩のリスクも言われていますが、それは紙媒体のものでも変わりはないと思っています。特に社内での稟議書や契約書、見積書、決裁書等多くの捺印、署名を必要とした業務も、その書面をPDFでデータ化するという方法での管理保存をしていましたので、保存の為の項数を考えれば、電子契約については良い面のほうが圧倒的に多く感じています。」(30代男性/通信・インターネット業)
  • 「契約書を紙で取り交わす時代はもう終わっても良いと思います。発送、返送にかかる費用もなくスキャンしデータにしなくともダウンロードをおこなうだけで電子データとしていつでも確認することができるといった点のメリットが大きいためです。実際使ってみた感想としても同サイトのIDさえ作成してしまえば簡単に利用できるためそこまで不自由は感じませんでした。データ漏洩のリスク、契約書の改ざんのリスクなどはもちろんあると思うので双方がしっかりと保存をおこなうことで危険を回避できるのであれば問題ないかとおもいました。」(20代男性/通信・インターネット業)
  • 「契約データは保存するようにしておりますが、データトラブルを考えいくつかの場所にバックアップをした上に結局心配で印刷して保管する形になりそれはそれで手間になってしまっています。郵送等は省けますが記憶に残りにくく、自社で導入していないこともありまだいまいち慣れません。」(30代女性/卸売・小売業)
  • 「導入が面倒くさいかもしれないと先入観がありましたが、実際利用すると便利です。良い点はPDFを印刷すればいいので最悪なくしても再発行ができることです。デメリットは電子契約に慣れていない、または安全性に不信感のあるアナログ上司を説得することです。」(50代女性/製造業)

利用したことがない方の声

  • 「未だに職場内での簡単な決裁にすらハンコを必要とする状態なので、どんどん電子契約社会となり、それが当たり前になって、ここでもそれを導入せざるを得ない状況になって欲しい。実際に上司は何か不都合があった際に、証拠となる能力があるのかどうかについて不安を感じているため、まったく導入されていない。したがって、いかに証拠能力が保証されていて、安心して利用できるのかということがもっと普及して欲しい。官公庁や自治体が当然のように利用する頃にやっと追いつくと思われるので、自分が生きているうちくらいには少なくとも実現して欲しいと思うが、難しそう。」(40代男性/サービス業)
  • 「紙の書類を保管する必要がなくなること、事務処理や書類整理が楽になりそうなことは良い点だと感じますが、電子契約を導入するコストがかかりそうなため、業種にもよると思いますが頻繁に使用しない個人経営の会社などでは当面必要がなさそうに感じます。ただ、大手企業ではテレワークが推奨されている昨今、他者が触った紙に触れるのも抵抗があるので、非接触ツールとして役立つ場面が増えるのではないかと想像しています。また、電子帳簿保存法が改正されたこともあり今後さらに様々な書類が電子化されていくことが予想されるので、そういった動向に注視していきたいと思います。」(30代女性/飲食業)
  • 「契約書を扱う部署におりますが、昨今の世情により電子申請などが普及しないとリモートワークに移行できないということで電子契約を視野に入れているようです。使用したことはありませんが、印紙などの経費も削減出来ると聞いております。確かに電子契約を使用する費用はありますが契約書を紙ベースにすることによるコスト、作成の手間や出社の必要を考えると、私個人としては良い点の方が多く感じております。」(40代女性/不動産業)
  • 「大きな企業は良いのかもしれないが、弊社のような中小企業かつ契約を結ぶという作業があまりないような場合、システムを導入するのにかかる費用がかなり負担になる。
    電子契約が当たり前、みたいなカンジになってしまうと、ちょっと困ります。システム導入ではなく、1回限りのスポット使用みたいなものが出来れば、使用を検討するかもしれません。」(40代男性/サービス業)

調査結果のまとめ

今回の調査結果で、電子契約の認知度は8割近くと高かったが、実際の企業の利用率は4割にも満たないという現状が明らかになりました。

電子契約の普及にはもう少し時間がかかるかもしれませんが、世の中の流れとして電子契約を推進する動きとなっていますので、近い将来、電子契約が当たり前になる時代がくることは間違いないでしょう。

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