フリーランスでも住宅ローンは組める?重視される8つのポイントを解説

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溝口弘貴
本記事の企画・編集者
溝口 弘貴
つなぐマーケティング代表

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フリーランスとしての独立には不安がつきまといます。

将来のこと、暮らしのことに強い不安を感じる人も少なくないでしょう。

ここで、とくに多くの人が不安や疑問を感じているのが「フリーランスでも住宅ローンを組むことは可能なのか?」という問題です。

フリーランスでも住宅ローンは組めるのか、ローン審査で不利にならないのか、どうすればローンを組みやすくなるのかを解説しましょう。

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溝口弘貴

溝口 弘貴

つなぐマーケティング代表

電気工事士からWeb業界に転職して10数年。現在はフリーランスとしてクライアントサイトのマーケティング支援や自社メディアの運用などをおこなっています。ネットマーケティング検定やIMA検定などIT関連の資格を8つもっています。運営者情報はこちら

フリーランスでも住宅ローンは組めるのか?

まずは、多くの人が気になっている「フリーランスでも住宅ローンは組めるのか?」という疑問にアンサーを出していきます。

フリーランスでも住宅ローンを組むことは可能

結論をいうと、フリーランスでも住宅ローンを組むことは可能です。

フリーランスだからといってかならず審査の対象外になるわけではないし、実際にフリーランスでも住宅ローンの審査に通過してマイホームを建てた人はたくさん存在します。

一昨日フラット35本審査通過しました
個人事業主です。

引用元:Yahoo!知恵袋

最近、家を建てた40代前半自営業の者です。
私は所得320万円で2300万円を借りました。

引用元:Yahoo!知恵袋

会社員や公務員と比べると審査で不利になる

マイホームの購入にあたって、多くの人が住宅ローンを利用しています。

住宅金融支援機構が公開している「住宅取得に係る消費実態調査(2014年度)」によると、住宅ローンを利用した世帯はおよそ70%でした。

とくに新築一戸建ての場合の利用率は約75%、建売住宅の場合は約86%と非常に高くなっています。

回答世帯数に占める住宅ローン借入有り世帯数の割合

引用元:住宅取得に係る消費実態調査(2014年度)|住宅金融支援機構

こうしてみると、マイホームを建てるには住宅ローンの利用が欠かせないといえるでしょう。

ところが、住宅ローンはそもそも収入が安定している会社員や公務員の利用を想定した金融商品であるため、収入が不安定なフリーランスでは審査において不利になります。

フリーランスが住宅ローンを利用してマイホームを建てるなら、フリーランスであることの不利を解消する対策を講じなければなりません。

銀行はココに注目する!住宅ローン審査で重視されるポイント8つ

住宅ローンを利用する際には、かならず審査がおこなわれます。

この点は会社員・公務員でもフリーランスでも同じです。

銀行は審査においてどんな点に注目するのか、とくにフリーランスの場合に重視されるポイントを挙げていきましょう。

  1. 事業年数
  2. 所得額
  3. 返済比率(返済負担率)
  4. 自己資金(貯金)
  5. 事業ローンなどを含めた支払い状況・信用情報
  6. 税金の納付・滞納状況
  7. 連帯保証人をつけることの可否
  8. 健康状態

ポイント1.事業年数

まず、フリーランスとして独立してから何年が経過しているのかがチェックされます。

一般的に事業を開始して2~3年が経過していないと、フリーランスの場合は住宅ローンの利用を申し込んでも審査通過は難しいでしょう。

フリーランスとして独立したばかりで事業年数が1年以内だと、審査に通過しない事態は覚悟しておいたほうがいいかもしれません。

実際に、個人事業主の場合は事業年数を審査対象の基準として明示している銀行も存在します。

この点は、次のポイント2に関係するので覚えておきましょう。

ポイント2.所得額

次に重視されるのが所得額です。

フリーランスの場合は、売上の総額ではなく売上から諸経費を差し引いた所得額が審査に影響します。

どんなに売上額が大きくても、経費支出が大きすぎて赤字になってしまうようでは「経営状況が悪い」と評価されてしまうでしょう。

会社員や公務員の場合、収入状況は源泉徴収票や所得額証明書で証明しますが、フリーランスは直近1年だけでなく過去2~3年分から評価されます。

事業年数が2~3年に満たないと所得の評価が難しいので、ポイント1の事業年数も重視されるという構図です。

ポイント3.返済比率(返済負担率)

返済比率とは、年収に占める年間返済額の割合です。

「年間返済額÷年収×100」で計算できます。

たとえば、年収500万円で毎月の返済額が10万円の場合は(10万円×12か月)÷年収500万円×100=返済比率24%です。

フラット35の場合は年収ではなく返済比率によって借り入れの可否が決まります。

  • 年収400万円未満……返済比率30%以下
  • 年収400万円以上……返済比率35%以下

返済比率は無理のない返済額を決めるための基準であり、借入可能額にも影響します。

ローン審査に通過しても、返済比率の兼ね合いから希望に満たない額しか借り入れできないといった事態が起きることもめずらしくありません。

ポイント4.自己資金(貯金)

自己資金の有無や金額も審査に影響を与えます。

当然、経済的な余裕があるほうが審査には有利です。

頭金として使えれば借入総額が小さくなり、月々の返済額もコンパクトになります。

一般的に、物件の購入価格+諸費用の合計額に対して10%程度の自己資金があれば有利とされていますが、フリーランスはとくに審査で厳しい立場にあるので15~20%ほどの自己資金を用意できるのが望ましいでしょう。

ポイント5.事業ローンなどを含めた支払い状況・信用情報

事業資金のローンや個人名義のカードローンなどの返済がある場合は、その支払い状況がすべて信用情報機関に登録されています。

返済が滞っていたり遅延していたりすれば不利になるのはもちろん、過去に遅延があった場合も審査では不利になると考えておきましょう。

信用情報に不安を感じているなら、審査前に自分で調べることも可能です。

国内の信用情報機関はCIC・JICC・KSCの3つなので、それぞれに情報開示を請求して資料を取り寄せてください。

【参考サイト】情報開示とは|CIC 開示を申し込む|JICC 本人開示の手続き|KSC

ポイント6.税金の納付・滞納状況

ローン審査を申し込むと、納税証明書の提出も求められます。

これは、税金を正しく納付しているか、滞納はないかを確認するためです。

所得税・市民税・健康保険税の滞納という事実は、銀行にとって非常に重く受け止められます。

とくにフリーランスの場合は、滞納が続いて差押えを受けると会社員や公務員の給料とは異なり売掛資産となるため、報酬の全額差押えという事態が起きかねません。

住宅ローンの返済よりも納税が優先されるので、安全に回収できないかもしれないという観点から、たとえ少額でも税金の滞納があると審査を通過できないと考えておきましょう。

フリーランスが納める税金について詳しくみる

ポイント7.連帯保証人をつけることの可否

会社員や公務員なら連帯保証人を求められるケースは少ないですが、フリーランスの場合はどうしても事業に波があるので、万が一の事態に備えて連帯保証人をつけるように求められることが多くなります。

とくに返済比率が基準内とはいえ大きい場合や自己資金が少ない場合は、連帯保証人をつけるよう求められる可能性が高いでしょう。

ローンを申し込むにあたって、事前に連帯保証人になってくれる人の目星をつけておき、約束を取り付けておいたほうが利口です。

ポイント8.健康状態

意外に感じるかもしれませんが、本人の健康状態も重視されます。

なぜ銀行が本人の健康状態を重視するのかというと、そもそも住宅ローンは「完済予定の年齢まで健康で働き続けられること」が前提の金融商品だからです。

基本的に、住宅ローンを組む際は本人が亡くなってしまった場合に生命保険で住宅ローンを返済する団体信用生命保険(団信)に加入することになりますが、団体信用生命保険も健康でなければ加入できません。

なお、団体信用生命保険に加入しなくてもすでに加入している生命保険を代わりにできるケースもあるので、実は健康状態に加えて生命保険の加入状況も大切になってきます。

フリーランスが住宅ローンを組むために実践するべきこと5つ

フリーランスでも住宅ローンを組むことは可能です。

ただし、同じ年収で比較しても会社員・公務員より不利になることは覚悟しなければなりません。

フリーランスが住宅ローンを組むには、フリーランスだからこそ実践すべき5つの対策があります。

  1. 所得額を増やす
  2. ほかのローンは繰り上げ返済する
  3. 地元の銀行や信用金庫などを利用する
  4. 物件の価格を抑える
  5. ヒアリングの機会に自分の仕事内容を丁寧に説明する

1.所得額を増やす

フリーランスの場合、2~3年分の「所得」をもとに返済能力が判断されます。

銀行に「十分な返済能力がある」と認めてもらうには、所得額を増やさなくてはなりません。

売上をアップさせるために仕事量を増やしたり高単価の案件を積極的に取得したりといった活動を尽くすのは当然ですが、無駄な経費支出を抑えて「利益が出ている」という状況を作る対策も必要です。

所得額が増えると税の負担も増える

住宅ローン審査に通過するためには所得額を増やす必要がありますが、一方で、所得額が大きくなると所得税・住民税・健康保険税の負担が増えてしまいます。

とくにフリーランスの場合は国民健康保険への加入が基本で、会社員・公務員と比較すると会社の半額負担や扶養がなくなるので、健康保険税の負担増大に驚く方も少なくありません。

住宅ローン審査に通過するためとはいえ、税負担が大きくなれば貯蓄にまわせるお金も減って自己資金の確保も難しくなります。

度を超えた過大申告をするのではなく、純粋に事業を成長させて所得額を増やすように心がけましょう。

2.ほかのローンは繰り上げ返済する

住宅ローン審査を申し込むまでに、ほかのローンは繰り上げ返済をしてできるだけゼロの状態にもちこんでおきましょう。

マイカーローンなどが残っていてもそれだけで住宅ローンの審査に落ちるわけではありませんが、ほかのローン返済が残っていると返済比率に影響を与えてしまいます。

借入可能額が減ったり、銀行側から「別のローンを完済してからでなければ融資できない」と断られてしまったりするかもしれないので、借入残額はゼロにしておくのが理想です。

3.地元の銀行や信用金庫などを利用する

大手の都市銀行やネット銀行は、住宅ローンの申し込みがオンラインで完結するなど便利なイメージが強いかもしれませんが、一方でフリーランス・個人事業主への対応は厳しい面もあります。

審査に不安を感じているなら、大手の都市銀行やネット銀行ではなく、地元の銀行や信用金庫、JAなどの利用を考えたほうがいいかもしれません。

事業ローンを利用したことがあったり報酬の振込先として利用していたりする地元の銀行や信用金庫、JAなどであれば、機械的な判断だけでなく取引の実績も考慮してくれる可能性が高まります。

ネット完結の住宅ローン審査で不承認になっても、地元銀行なら条件付きで承認されたというケースも多いので、最寄りのローン相談窓口を訪ねてみましょう。

4.物件の価格を抑える

物件の価格は、借入総額や返済比率に影響します。

希望どおりのマイホームに住みたいと望むのは当然ですが、フリーランスであることを考えると物件の価格は同年収の会社員や公務員と比較してやや抑え目にしたほうが安全でしょう。

中古住宅の場合は既存不適格物件に注意

物件価格を抑えるために、中古住宅の購入を考える人も増えています。

とくに近年ではリノベーションを前提に古民家などを購入する人も増加していますが「既存不適格物件」にあたらないように注意してください。

既存不適格物件とは、建築当時では問題がなかったものの、現在の法令に照らすと再建築できないなどの問題が生じる物件のことです。

既存不適格物件に該当すると、銀行としては返済が滞ったときに売却・回収が難しくなるので、ローン審査で不承認になりやすくなります。

利便性や安全性を考慮しても、既存不適格物件は避けたほうが安全です。

5.ヒアリングの機会に自分の仕事内容を丁寧に説明する

「フリーランス」という働き方に理解が乏しい銀行担当者も少なくありません。

とくに、IT・web系のフリーランスだと、どんな仕事なのかさえイメージしづらく、安定して継続案件を得ていても「不安定なのでは?」という疑念をもたれてしまうケースも多いのが実情です。

自分自身がどんな仕事をしているのか、どんなクライアントを相手に業務委託契約を結んでいるのか、実際にどんな成果を挙げているのかなど、必要書類として提示されていなくても説明資料を用意してヒアリングに臨むといいでしょう。

ローン審査には銀行ごとの基準が設けられていますが、機械的な分別がおこなわれているのではなく「担当者の判断」が重視されていることを忘れてはいけません。

クライアントを口説き落として案件をもらうのと同じように、自分がフリーランスとしてどれだけ安定しているのか、優良案件を得て成果を残しているのかを熱心にプレゼンしてください。

さいごに

フリーランスでも安定した所得があれば住宅ローンを組むことは可能です。

ただし、同年収の会社員や公務員よりも不利な扱いを受ける事態は避けられないので、かならず返済を守れるだけの経済力があること、他社のローン返済や税金の滞納がない健全な身であること、健康に働き続けられることをしっかりアピールしなくてはなりません。

2~3年間の所得額を増やすなど長期的な対策も欠かせないので、数年がかりの計画だと覚悟して準備を進めていきましょう。

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