個人事業主が税理士に確定申告などを依頼するといくらかかる?税理士の費用相場を解説
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- 「個人事業主が税理士に依頼した場合、いくらぐらいかかるのだろう……」
個人事業主として独立して順調に売上が伸びてきたら、税理士への依頼を考えることもあるでしょう。
しかし、会社員として働いているときは確定申告について考える機会は少ないので、費用相場がわからない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、個人事業主が税理士に依頼した場合の費用相場について詳しく解説します。
溝口 弘貴
つなぐマーケティング代表
電気工事士からWeb業界に転職して10数年。現在はフリーランスとしてクライアントサイトのマーケティング支援や自社メディアの運用などをおこなっています。ネットマーケティング検定やIMA検定などIT関連の資格を8つもっています。運営者情報はこちら
本記事でわかること
個人事業主が税理士に依頼した場合の費用相場
ここでは、個人事業主が税理士に依頼した場合の費用相場について解説します。
税理士に丸投げする場合:年間約20万~61万円
税理士に丸投げする場合、スポット依頼(確定申告)での費用相場は5万~25万円、顧問契約を結んだ場合は月1万〜5万円が相場となります。
費用の内訳は以下のとおりです。
依頼形態 | 申告方法 | 年間売上 | 費用相場 |
---|---|---|---|
スポット(年1回) | 青色申告 | 500万円未満 | 5万~8万円 |
500万〜1,000万円 | 8万~10万円 | ||
1,000万〜3,000万円 | 10万~15万円 | ||
3,000万〜5,000万円 | 15万円〜売上に応じて変動 | ||
5,000万円以上 | 売上に応じて変動 | ||
白色申告 | 20万円〜 | 5万〜10万円 | |
顧問依頼(月額) | 青色申告・白色申告 | 500万円未満 | 1万〜2万円 |
500万〜1,000万円 | 2万〜3万円 | ||
1,000万〜3,000万円 | 3万〜5万円 | ||
3,000万〜5,000万円 | 5万円〜売上に応じて変動 | ||
5,000万円以上 | 売上に応じて変動 |
※あくまで目安の金額になるため、詳細はお近くの税理士事務所にお問い合わせください
顧問契約を結んで確定申告を依頼する場合、追加費用として5万~15万円程度が必要です。
たとえば、年間課税売上が500万円の個人事業主が税理士に全てを依頼した場合、以下の費用がかかります。
「顧問契約(月額1万円)×12か月+確定申告(年1回8万円)=年間20万円」
個人事業主が税理士に丸投げした場合の相場は、年間20万~61万円と覚えておきましょう。
確定申告代行:1回5万〜15万円
白色申告と青色申告では料金が異なり、確定申告代行のみを依頼することも可能です。
費用相場は、白色申告が5万〜10万円、青色申告が10万〜25万円が一般的です。
金額は事業規模によって変動するため、詳細はお近くの税理士事務所に直接確認してください。
記帳代行:月5.000円~2万円
記帳代行は税理士に月5千〜2万円程度で依頼できます。
費用は取引数や領収書の枚数によって異なるため、事前に確認することが大切です。
記帳代行の料金相場は、以下のとおりです。
仕訳数 | 料金 |
---|---|
~200枚 | 〜15,000円 |
201~300枚 | 15,000〜20,000円 |
301~400枚 | 20,000〜25,000万円 |
401~500枚 | 25,000〜30,000円 |
501枚~ | 30,000〜35,000円 |
記帳代行を依頼するメリットは、正確な帳簿が作成できる点です。
また、確定申告をあわせて依頼すれば、税務作業の負担を大幅に軽減できます。
ただし、上記の金額は目安であり、顧問契約を結ぶことで記帳代行費用が割安になる場合もあります。
消費税申告代行:年1回2万~5万円
税理士に消費税の申告代行を依頼する場合、費用の相場は2万〜5万円です。
通常、消費税申告は課税売上高が1,000万円を超えた場合に必要ですが、令和5年10月からインボイス制度が導入され1,000万円未満の事業主も申請が必要なケースがあります。
ただし、1,000万円未満の場合は「簡易課税制度」「2割特例」が利用できるため、手続きが比較的簡単です。
会計ソフトを使えば自分で対応できますが、申告には時間と手間がかります。
迷ったときは、一度税理士に相談してみてください。
【参考元】
・令和5年10月からインボイス制度が開始|政府広報オンライン
・消費税のしくみ|国税庁
顧問契約:月2万~5万円
個人事業主が税理士と顧問契約を結ぶ場合、顧問料の相場は月2万〜5万円です。
顧問税理士は、税務相談や月数回の訪問などの業務をおこないます。
また、顧問契約を結ぶことで、効果的な節税対策の提案や税務調査への対応も任せられます。
会計業務だけでなく、経営に関するアドバイスも受けられるため、起業したばかりの個人事業主にとって頼れる存在となるでしょう。
個人事業主の税理士費用が決まる4つの要素
ここでは、個人事業主の税理士費用が決まる4つの要素について紹介します。
1.年間売上規模
税理士費用は個人事業主の年間売上規模によって変動します。
売上が増えると取引量が増え、資料作成や申告書類の作成にかかる作業量が増加するため費用も高くなります。
以下は顧問料と確定申告費用の目安です。
年間売上 | 顧問料(月額) | 確定申告のみ(年額) |
---|---|---|
500万円未満 | 1万~2万円 | 5万~8万円 |
500万~1,000万円 | 2万~3万円 | 8万~10万円 |
1,000万~3,000万円 | 3万~5万円 | 10万~15万円 |
3,000万円以上 | 5万円以上 | 15万~20万円以上 |
上記はあくまで目安になるため、依頼前に具体的な費用は税理士事務所に確認しましょう。
2.依頼する業務の範囲と量
税理士費用は、依頼する業務内容によって異なります。
記帳代行から確定申告まで全て任せると費用は高くなりますが、会計ソフトで記帳をおこない、確定申告だけ税理士に依頼すれば費用を削減できます。
逆に会計業務に時間を割きたくない場合は、全て税理士に任せ事業に専念するのも一つの方法です。
まずは、自分で対応できる作業と税理士に任せたい部分を明確にしましょう。
3.打ち合わせや訪問の回数
税理士費用を抑えるには打ち合わせや訪問回数を減らし、効率的なやり取りを心がけるのが大切です。
訪問や面談が増えるほど、時間や手間が費用に反映されます。
クラウド会計ソフトを使い必要なデータを事前に共有すれば、直接の打ち合わせをオンライン面談に切り替えられ、コスト削減も可能でしょう。
契約時に打ち合わせ頻度を明確にし、効率的な連携を提案してみてください。
4.青色申告か白色申告か
税理士に確定申告を依頼する費用は、白色申告か青色申告かで変わります。
白色申告は書類が少なく、費用は10万円未満が一般的です。
一方、青色申告は決算書の作成が必要で、500万円以下の売上なら8万円程度、1,000万円以下なら10万円程度必要になります。
また、帳簿を自分でつける場合は費用がさらに下がり、500万円以下なら約5万円、1,000万円以下なら8万円程度で済むこともあります。
しかし、各税理士事務所により費用は異なるため、詳細はお近くの税理士事務所に問い合わせてみてください。
個人事業主が税理士へ依頼を考えたほうがよい4つのタイミング
個人事業主が税理士へ依頼を考えたほうがよいタイミングは、さまざまなケースがあります。
ここでは、個人事業主が税理士へ依頼を考えたほうがよい4つのタイミングを紹介します。
1.起業するとき
起業時に税理士へ相談することで、税務や会計の基盤を整えられます。
とくに以下の業種では経費の範囲が広く、税務調査の対象になりやすいため、税理士へ依頼を考える必要があるでしょう。
- 医療関連
- 建築
- 不動産
- 飲食
将来的な税務調査や申告ミスなどを防ぐためにも、起業したタイミングで一度税理士に相談するのがおすすめです。
2.年間売上が1,000万円を超えるとき
年間売上が1,000万円を超える場合は、税理士へ依頼するタイミングです。
年間売上が1,000万円を超えると、翌々年度から消費税の課税事業者となり、消費税の申告や計算が必要になります。
売上が増えてくると手続きが複雑になり、1,000万円以下のときと比べて専門的な知識が求められます。
このため、売上が増えたタイミングで早めに税理士へ相談しましょう。
3.法人化を考えているとき
法人化を検討している個人事業主の方は、税理士へ依頼するタイミングです。
法人化には定款の作成や登記手続き、税務署への申請など、個人事業主では経験しない複雑な準備が必要です。
さらに、法人税や社会保険料の対応、節税の仕組みも理解しないといけないため、個人で全て対応するのは現実的に難しいでしょう。
しかし、税理士に依頼すれば記帳や税金に関する手続きの代行など、専門的なサポートが受けられます。
経理の負担を軽減し、安心して法人化を進めるためにも、税理士への相談を検討してみてください。
4.借入・資金調達が必要なとき
借入や資金調達を検討している場合は、税理士に相談するタイミングの一つです。
融資を受けるには、信頼性のある事業計画書や財務資料の作成をする必要があります。
税理士に依頼すれば書類作成や財務資料の整備が効率的に進み、金融機関や投資家からの信用を得やすくなります。
また、税務に関するアドバイスも受けられるため、資金調達後の管理面でも安心です。
準備段階から早めに税理士へ相談し、資金調達をスムーズに進めましょう。
個人事業主が税理士に依頼する6つのメリット
ここでは、個人事業主が税理士に依頼する6つのメリットについて紹介します。
1.本業に集中できる
税理士に依頼すると、税務処理や会計管理の負担を軽減でき本業に集中する時間が増えます。
帳簿の記帳や確定申告の準備、税金計算などの作業は手間がかかりますが、税理士に任せることで正確かつ効率的に進められるでしょう。
また、税制改正にも対応できるため、安心して事業運営に専念できます。
2.会計処理を正確にやってもらえる
帳簿作成や確定申告などの複雑な会計業務を正確に進められる点も、税理士に依頼する大きなメリットです。
税金に関するルールは頻繁に改正され専門的な知識が必要ですが、税理士は最新の情報を基にスムーズに処理してくれます。
このため、会計業務のミスを防ぎたい方や安心して業務を進めたい方は、一度税理士に相談してみましょう。
3.確定申告をおこなう手間が省ける
税理士に依頼すれば、複雑な確定申告作業を任せられるため、会計業務に費やす時間や労力を大幅に削減できます。
確定申告では税金や経費の計算ミスが起こるケースもありますが、税理士が対応することで修正の手間を省けます。
その結果、本業に集中できる環境が整うため、大きなメリットといえるでしょう。
4.節税対策に関して専門家のアドバイスが受けられる
税理士に相談することで、青色申告控除や各種特例を最大限に活用した節税対策が可能です。
また、経費計上や控除の漏れを防ぎ税負担を軽減できます。
節税対策は自分でおこなうより、税理士に任せるほうが確実で効率的です。
5.資金調達がスムーズにできる
税理士に依頼すると、融資や補助金申請のための書類作成がスムーズになり、資金調達の成功率が高まります。
金融機関や自治体は正確な財務資料や事業計画書を重視するため、専門知識をもつ税理士のサポートが必要不可欠です。
また、税理士が金融機関との信頼関係を築いている場合、交渉もスムーズに進むでしょう。
初回相談が無料の事務所も多いため、プロの意見を取り入れたうえで、資金調達に臨んでみてください。
6.税務調査にも対応してもらえる
税務調査への対応が不安な個人事業主にとって、税理士のサポートは欠かせません。
税務調査では帳簿の正確な整備や法的な知識が求められます。
不備が見つかると追徴課税やペナルティのリスクがあるため、適切な対応が必要です。
税理士に依頼すると事前に帳簿をチェックし、調査時には立ち会いや調査官との交渉を任せられます。
こうしたサポートにより、精神的な負担が軽減される点も大きなメリットです。
個人事業主が税理士を選ぶ際に注意すべき4つのポイント
ここからは、個人事業主が税理士を選ぶ際に注意すべき4つのポイントを紹介します。
料金体系が明確なこと
税理士を選ぶ際は、料金体系が明確かどうかを必ず確認してください。
不明確な契約では、後から予期しない追加費用が発生する可能性があります。
税理士費用には、顧問料や確定申告手数料、記帳代行費用などが含まれますが、事務所ごとに料金設定が異なるため注意が必要です。
たとえば、月額顧問料が低額でも確定申告や税務調査時に高額な追加料金が発生するケースもあります。
そのため、契約前には必ず見積もりを取得し、各費用項目を確認しましょう。
レスポンスが早いこと
税理士を選ぶ際は、迅速な対応ができるかどうか確認しましょう。
税務署や国税庁からの問い合わせなど、緊急性の高い状況では迅速な対応が重要です。
そのため、契約前に相談や見積もりの返信スピードをチェックし、税理士の対応力を見極めておくことがおすすめです。
話がわかりやすいこと
話がわかりやすい税理士を選ぶことで税務や会計の疑問を迅速に解消でき、対応ミスや遅れを防げます。
税務の専門用語や複雑なルールは理解が難しいため、説明が不十分な税理士では必要な対応を見落とすリスクが高まります。
一方、明確で具体的な提案をしてくれる税理士なら、安心して業務を任せられるでしょう。
初回相談時に説明のわかりやすさを確認し、自分に合った税理士を選んでみてください。
節税対策について積極的に教えてくれること
節税に詳しい税理士を選ぶことで無駄な税金を削減し、事業資金を効率的に活用できます。
たとえば、青色申告控除や経費の適切な計上方法についてアドバイスを受ければ、税負担を大幅に削減可能です。
税理士を選ぶ際は、節税方法を具体的かつわかりやすく説明してくれるか事前に確認しましょう。
個人事業主が税理士費用をなるべく安く抑える5つの方法
ここでは、個人事業主が税理士費用をなるべく安く抑える5つの方法を紹介します。
記帳はクラウドツールなどを使って自身でおこなう
クラウド会計ツールを活用すると、税理士費用を大幅に削減できます。
記帳代行を税理士に依頼する場合、月5,000〜20,000円が相場ですが、クラウドツールなら月1,000〜3,000円程度で利用可能です。
銀行口座やクレジットカードと連携した自動仕訳機能があるため、手間を省けて初心者にも使いやすいのが特徴です。
「マネーフォワード ME」「Freee 会計」などの会計ソフトは操作が簡単で、自動入力やレポート作成機能も充実しています。
無料トライアルが用意されているため、まずは試してみるとよいでしょう。
税理士と相談して依頼内容を見直す
税理士費用を抑えるには、依頼内容を見直すことが重要です。
たとえば、記帳をクラウドツールでおこなえば、記帳代行費用(月5千円〜2万円)を節約でき年間で3万〜12万円以上の費用が削減できます。
事業規模や売上に合わせて必要なサポートを決めましょう。
税理士との打ち合わせ回数を減らす
税理士との打ち合わせ回数を減らすことで、費用を抑えられます。
打ち合わせが増えるほど税理士の作業時間が増加し、費用に反映されます。
最近では、対面だけでなくメールやオンラインで対応可能な税理士も増えているので契約時に相談してみましょう。
内容によっては税務署に無料相談する
税務署の無料相談を利用すれば、税理士に依頼するより費用を抑えられます。
確定申告や税金に関する基本的な質問に無料で対応してくれるため、確定申告のやり方がわからない初心者には役立つ方法です。
ただし、節税対策や詳細なアドバイスは受けられないため、必要に応じて税理士に相談してください。
他の税理士に見積もりを取る
税理士費用を安くするには、複数の税理士に見積もりを依頼して比較するのがポイントです。
税理士によって料金やサービス内容が異なるため、自分の依頼内容を明確にしたうえで見積もりを取りましょう。
さいごに
個人事業主が税理士に丸投げする場合の年間にかかる相場は、20万~61万円程です。
そのため、年間売上が500万円未満の個人事業主であればコスト割れする可能性があるため、会計ソフトで対応するのがよいケースもあります。
しかし、年間売上が800万円を超えてくるあたりからは、会計業務の負担も大きくなるので税理士に依頼するのがおすすめです。
年間売上が500万〜1,000万円の個人事業主であれば、税理士に丸投げしても年間20万円程度の費用に収まります。
毎月16,000円以上の利益を残していけば、コスト割れもする心配もありません。
溝口
会計ソフトと税理士への依頼をうまく組み合わせて、一番コストパフォーマンスの良い会計業務に取り組みましょう。
溝口
実は私も、2024年分の確定申告を初めて税理士に依頼します。
売上が伸びてきて税理士への依頼を考えている個人事業主の方は、ぜひ参考にしてください。