起業するには?ビジネスを開始するために必要な手続きと流れ、相談先を解説
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東京商工リサーチが公表している「2021年 全国新設法人動向調査」によると、2021年中に新しく設立された法人は14万4,622社で、2007年以降では過去最多となりました。
前年比10.1%増という空前のブームが起きている今こそが起業の好機です。
とはいえ、いざ起業しようにもどうすればよいのかわからないという方も少なくないでしょう。
この好機に「知らない」「わからない」という理由で出遅れるのは、はっきり言って損でしかありません。
起業するには何から始めるべきなのか、どういった手続きが必要なのかを学んでいきましょう。
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溝口 弘貴
つなぐマーケティング代表
電気工事士からWeb業界に転職して10数年。現在はフリーランスとしてクライアントサイトのマーケティング支援や自社メディアの運用などをおこなっています。ネットマーケティング検定やIMA検定などIT関連の資格を8つもっています。運営者情報はこちら
本記事でわかること
起業するには何から始めればいい?起業するまでの5つの流れ
起業を成功させるためには具体的なイメージが欠かせません。
なにを、どうすればいいのか、まずは「やるべきこと」を明確にしておきましょう。
- 起業する理由を明確にしておく
- 「誰に・何を・どうやって」ビジネスモデルを決める
- 事業計画書を作成する
- 個人事業主になるか法人化するかを決める
- 事業をおこなうための資金調達方法を決める
1.起業する理由を明確にしておく
HONDAの創業者として有名な本田宗一郎氏は
行動には理由・理念の浸透が必要であり、これを理解しないまま突き進むことは暴走でしかないという名言です。
ごく当然のように感じるかもしれませんが、理由や目的がはっきりしないまま起業を考えてしまう方も少なくありません。
「人の言いなりになって働くのはうんざり」といった消極的な考え方や「好きなことを仕事にしたい」というただの希望ではなく、あえて現状を捨ててでもチャレンジする明確な理由が必要です。
起業はゴールではなく「目的を達成するための出発点」なので、まずはゴールを明確にしておきましょう。
- あえて自分で起業する必要があるのか、現状では実現できないのか?
- どんなビジネスを起こして、どんな結果を求めるのか?
これらが明確でないと「起業した」という行動だけに満足してしまい、モチベーションを維持できないまま失敗してしまいます。
「なぜ?」と何度も自問自答を繰り返した結果として、起業しなければ自分が目指すビジネスも未来も実現できないと判断できたら、第一関門は突破です。
2.「誰に・何を・どうやって」ビジネスモデルを決める
起業の理由というスタートとゴールがはっきりしたら、スタートからゴールに向かってどんなルートを通るのかを計画する必要があります。
誰に、どんなサービスや商品を、どうやって届けて利用してもらうのかを考えて、収益を得るという仕組みが「ビジネスモデル」です。
どんなに素晴らしいサービスや商品でも、市場で求められていなければ売れません。
また、ある程度のニーズがあっても、すでに競合多数でこれから新規参入しても見向きもしてもらえなかったり、すでに同じ商品やサービスがあふれていたりすれば、選ばれる存在になるのも難しいでしょう。
ここで頼りになるのが「ビジネスモデルキャンバス」です。
ビジネスモデルキャンバスとは、複雑なビジネスの構造を整理・可視化したフレームワークで「ビジネスの設計図」と考えればわかりやすいでしょう。
ビジネスモデルキャンバスは9つの要素によって構成されます。
- 顧客セグメント……ターゲットは誰なのか?
- バリュープロポジション……顧客に提供できる価値とは?
- キーリソース……価値を提供するために必要なものとは?
- キーアクティビティ……価値を提供するために必要なアクションは?
- キーパートナー……外部リソースやサプライヤーの中で主なパートナーは誰?
- 顧客との関係……顧客が確立・維持を期待している関係性とは?
- チャネル……価値を提供するために必要なチャネルとは?
- コスト構造……ビジネスモデルの運用で発生するコストはいくら?
- 収益の流れ……顧客はどんな価値のためにどんな形式でお金を支払うのか?
ネット上にはビジネスモデルキャンバスのテンプレートも公開されています。
記載例を参考にしながら、最初は空欄があっても構わないので自分なりに書き込んでいき、徐々にブラッシュアップしていきましょう。
3.事業計画書を作成する
ビジネスモデルキャンバスを基盤として、事業内容・起業戦略・収益見込みなどを明確にしたものが「事業計画書」です。
ビジネスモデルキャンバスがビジネスの設計図なら、事業計画書は「完成予定のビジネスの説明書」のようなものだと考えればわかりやすいでしょう。
起業の手続きにかならず提出を求められるわけではありませんが、資金調達の際に外部へビジネスモデルを説明する際に必要となるほか、事業を改善したいときにアドバイザーへ相談する際にも必要となります。
とくに定まったフォーマットはないので、ネットで公開されているフォーマットや記載例を参考に作成しましょう。
4.個人事業主になるか法人化するかを決める
起業の方法には大きく分けると2つのルートがあります。
「個人事業主」として起業するか、「法人」として起業するかの二択です。
スモールビジネスでコストを抑えながらカンタンに起業したいなら個人事業主としての起業でも十分でしょう。
管轄の税務署で「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するだけなので、難しい手続きはありません。
すでに計画段階から事業規模をどんどん拡大していく予定があるなら、法人としての起業を考えたほうが利口です。
法人としての起業には、次のような手続きが必要になります。
- 定款を作成して公証役場で認証を受ける
- 法務局で会社設立を登記する
- 税務署に法人設立届出書を提出する
- 年金事務所で健康保険や厚生年金保険の加入手続きをする
- 労働基準監督署で労働保険の加入手続きをする
公証役場での認証や法務局での登記にはそれぞれ手数料が発生しますが、法人として起業すれば税制面での優遇を受けられるだけでなく、外部への信用力も高まります。
個人事業主として起業してもあとから法人化は可能ですが、事業規模を考えると先々は法人化したほうが有利だと考えているなら、多少の手間とコストをかけてでも最初から法人として起業したほうがよいかもしれません。
5.事業をおこなうための資金調達方法を決める
ビジネスモデルキャンバスを整理して事業計画書を作成すれば、起業のために必要な資金も明らかになっているはずです。
起業コストが自己資金だけでまかなえて、しかも十分に余剰があるならとくに難しく考えることはないでしょう。
しかし、自己資金で負担すれば起業後の余裕がなくなってしまったり、そもそも自己資金だけでは足りなかったりするなら、どこかから資金を調達しなければなりません。
起業の際に調達すべき金額は、起業そのものにかかるコストに加えて、おおむね3か月程度のランニングコストを見越しておくべきだといわれています。
せっかく起業できても十分な資金を調達しておかなければ、経営が安定する前にビジネスが立ち行かなくなってしまうかもしれません。
資金調達のおもな方法は「融資」です。
日本政策金融公庫や一般の銀行・信用金庫などからお金を借りて捻出する方法がセオリーでしょう。
最近では、クラウドファンディングや投資家とのマッチングサービスの活用による資金調達も盛んになっています。
自治体の補助金や助成金といった制度も上手に利用し、余裕をもって資金を調達しておくのがベストです。
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事業を開始するために必要な手続き
実際に事業を開始するにはどんな手続きが必要になるのかを詳しくみていきましょう。
個人事業主として起業する場合は税務署に開業届を出すだけ
個人事業主として起業する場合は、住所地を管轄する税務署に対して「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。
開業届を提出するだけなので、手続きとしては非常にカンタンです。
また、個人事業主の確定申告の方法には「白色」と「青色」があります。
開業届を提出しただけなら白色申告です。
青色申告は会計が複雑になりますが、税制上の優遇が受けられるので、開業届の段階であわせて必要書類を提出しておきましょう。
法人として起業する場合の手続き
法人として起業する場合は、手続きが少し複雑になります。
事前に用意しないといけないものも多いので、手順に沿って確実に準備を進めていきましょう。
1.会社概要の決定と印鑑作成
まずは「会社概要」を決定します。
おもに「会社名」を決める作業ですが、原則として会社名は自由です。
ただし、同一住所に同一名称の会社は置けない、他社の商標を侵害してはいけない、「銀行」や公的機関と紛らわしい社名はつけられないなど、ある程度の制約があるので注意しましょう。
複数の拠点がある場合は本拠地の場所もこの段階で明確にしておく必要があります。
会社概要が決定したら「印鑑」の作成です。
手続きのうえでかならず用意しなければならないのは、法人登記の際に必須となる「代表者印」ですが、ほかにも次のような印鑑を用意するのが一般的でしょう。
- 会社銀行印……法人口座の開設に必要
- 会社印……外部に交付する領収書や請求書、社内文書などのうち、重要な書類に使用する、いわゆる「角印」
- 会社認印……比較的に簡易な業務に使用する認印
- ゴム印……会社住所などの手書き作業を軽減するもの
2.定款の作成・認証
次に「定款」を作成します。
定款とは、法人設立の発起人全員の同意のもとで定める、法人の基本情報や規則を示した書類です。
事業の目的や商号・本社の所在地といった絶対的記載事項が明らかになっていないと無効になったり、株式の発行など定款に明記していないと効力を発揮できなくなる相対的記載事項が必要だったりするので、定款作成は慎重を要します。
難しく感じるなら、定款作成をサポートしてくれるサービスの利用や司法書士などへの依頼も検討しましょう。
なお、株式会社の場合はさらに定款の「認証」も必要です。
公証役場の公証人が「この定款は正当な手続きによって作成されたものだ」と証明する作業で、近年では印紙代の節約にもなるPDF形式の電子定款が増えています。
3.資本金の振り込み
定款の作成・認証が終わったら「資本金」を振り込みます。
まだ法人設立の前で法人名義の口座を開設できないので、振込先は発起人の個人名義の口座です。
法務局での登記申請の際に必要なので、名義や口座番号が確認できる通帳の表紙と見開きの1ページ目、資本金が振り込まれた部分を記帳したページのコピーをとっておきましょう。
なお、振り込んだ資本金は、会社設立の手続きが終わって法人名義の口座を開設したあとで、個人名義の口座から移動させることになります。
4.登記申請書類の作成と申請
登記の申請には、ここで挙げる書類を作成・用意する必要があります。
- 登記申請書
- 「登記すべき事項」を記載した別紙(CD-Rでの提出可能)
- 登録免許税納付用の台紙
- 定款(電子定款の場合はCD-Rで提出)
- 発起人の決定書
- 設立時取締役・設立時代表取締役の就任承諾書
- 設立時取締役の印鑑証明書(複数の場合は全員分)
- 通帳の写し(資本金の振り込みの証明)
- 印鑑届出書(法人実印の届け出)
法務局のサイトには様式や記載例とあわせて「間違いやすいポイント」も掲載されているので、参考にしながら二度手間にならないように用意を進めましょう。
起業後に必要な手続き
法務局で登記申請が受理されれば、手続きとしての「起業」は完了です。
ただし、法人にはさまざまな義務があるので、各関係機関にも届け出をしなくてはなりません。
- 税務署:法人設立届・給与支払事務所等の開設届・青色申告の承認申請など
- 都道府県税事務所:法人設立届など(都道府県民税・法人事業税の課税に必要)
- 市町村役場:法人設立届など(※地域によっては提出義務なし)
- 年金事務所:健康保険・厚生年金保険の新規適用届と被保険者資格取得届
- ハローワーク:雇用保険の適用事業所設置届と被保険者資格取得届
- 労働基準監督署:労働保険保険関係成立届・概算保険料申告書・就業規則届など
各機関によって提出書類や期限が異なるので、提出漏れや遅延がないように注意しましょう。
起業するのにかかる費用の内訳と目安
日本政策金融公庫が公開している「2021年度新規開業実態調査」によると、2020年4月から同年9月にかけて公庫が融資した新規開設企業の開業費用は、平均で941万円でした。
ただし、この金額は合計金額÷企業数の平均値であり、データの大きさの偏りを修正した中央値は580万円です。
500万円未満で開業する企業の割合は42.1%でもっとも高く、実際には500万円前後で開業している人が多いようです。
起業準備にかかる費用
起業の準備段階では、起業の手続きにかかる費用の負担がメインになります。
- 登録免許税……資本金の0.7%にあたる金額(最低15万円)
- 謄本手数料……1ページ250円
- 定款認証の手数料……5万円
- 定款に貼付する印紙代……4万円(電子定款の場合は無料)
さらに株式会社の場合は資本金の準備も必要です。
以前は有限会社で最低300万円、株式会社なら最低1,000万円の資本金が必要でしたが、2006年の会社法改正によって制度が変更になり、資本金1円でも開業できるようになりました。
この制度改変によって最低資本金という考え方がなくなったので、資金力がなくても法人として起業できるようになったというのは大きなメリットです。
資本金が小さいと、法人住民税が安くなる、消費税の課税が免除されるといった点も有利だといえます。
ただし、取引先から「資金力が低く信用できない」と評価されるかもしれない、銀行から法人口座の開設や融資を断られてしまうことがあるといったデメリットがあるのは無視できません。
こういった点に注目すると、起業後に不利を招かないためには100万円単位の資本金を用意しておいたほうが利口です。
起業後にかかる費用
起業を実現したら、実際にビジネスを遂行するためのコストがかかります。
- 事務所や店舗の家賃・光熱費
- 広告費
- 通信費
- 設備費(PCやプリンタ、机などの事務用品等)
- 従業員の人件費
- 弁護士や税理士などの顧問費用
これらのコストは、事業内容や規模によって異なるので相場はありません。
機材の新規購入や商品の仕入れを必要とせず、自宅で従業員を雇用せずに進めるスモールビジネスでも、最低10万円程度はかかると考えておいたほうがよいでしょう。
事務所を借りて従業員にもPCやデスクなどを与える場合は、従業員2~3人で200~300万円が必要です。
さらに毎月のランニングコストも考え、起業後6か月は収益0円でも経営がストップしないように用意しておかなくてはなりません。
起業前よりも起業後のほうに重きを置いて余裕をもった資金を調達することをおすすめします。
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起業する際の5つの資金調達方法
起業には十分な資金が必要です。
これから挙げる5つのうち、最善の方法で必要な資金を調達しましょう。
1.自己資金
最もカンタンな資金調達方法は自己資金による出資です。
預貯金や資産整理によって自己資金から出資すれば、外部へのはたらきかけをしなくて済むのはもちろん、出資の配分によっては企業オーナーとして自由に采配がふるえるというメリットがあります。
ただし、自己資金を投じるのは諸刃の剣です。
事業が失敗に終わればみずからの財産を失ってしまうので、財産のすべてを投げうって自己資金100%で起業するのは避けたほうが安全でしょう。
2.ベンチャーキャピタルからの出資
未上場の企業に投資して、その企業が上場した際に株式を売却して利益を得るために、投資家から資金を預かってスタートアップ企業に投資するのが「ベンチャーキャピタル」です。
上場を視野に入れているのであれば、ベンチャーキャピタルからの出資も期待できます。
起業家の株式保有率は下がるものの、資金調達が実現できるだけでなく、顧客の獲得や経営アドバイスを受けられるという点でも有利です。
ただし、ベンチャーキャピタルはあくまでも利益優先で出資先を選ぶので、どんなに素晴らしいコンセプトでも利益が小さいと判断されれば相手にされません。
3.銀行からの融資
銀行などの金融機関からの創業融資は、資金調達の方法として定石です。
融資額が大きくなるので、詳しい事業計画書をもとにプレゼンテーションしながら審査の通過を目指すことになるでしょう。
金融機関からの融資を考える場合は、地域に根ざした地方銀行や信用金庫を選択したほうが利口です。
また、自己資金0円で融資100%の計画では融資を断られやすくなるので、最低でも30%程度、できれば50%以上の自己資金を用意しておく必要があります。
4.補助金制度
行政や公的機関が起業家のために用意している補助金制度を上手に活用すれば、資金調達の負担を軽減できる可能性があります。
制度 | 特徴 |
---|---|
制度融資 | 行政が信用保証協会を斡旋することで民間金融機関からの融資を受けやすくしてくれる制度。 |
公庫融資(日本政策金融公庫) | 上限3,000万円を金利0.66~2.80%という低金利の「新創業融資制度」の利用が可能。 |
マル経融資 | 商工会議所の推薦によって受けられる融資で、上限2,000万円・金利1.21%という最低水準。ただし1年以上の事業実績が必要なので借り換えでの利用となる。 |
補助金、助成金 | 経済産業省中小企業庁の主導で最大200万円が補助される「地域創造的起業補助金」や各地の中小企業振興公社による「創業助成金」など。要件に合致すれば受給できるので、ほかの方法よりも真調達を実現しやすい。 |
5.クラウドファンディング
近年では「クラウドファンディング」による資金調達も活発になっています。
インターネットを通じて個人や法人から少額ずつの資金を集め、リターンというかたちで商品やサービスを提供するもので、賛同を得られれば低リスクで資金を調達できるという点がメリットです。
ただし、主に個人からの賛同を集める必要があるため、ビジネスモデルの完成度だけでなく、ビジネスの背景やストーリーにも「出資したい」と思わせる魅力が求められます。
注目を集められれば有効ですが、注目されなければ資金が集まらないという確実性の低い方法なので、資金調達の方法として優先度は低いでしょう。
起業する前・した後に相談ができる相談先7選
素晴らしいビジネスモデルを頭のなかで思い描いても、自分の力だけで起業を実現し、経営を安定させるのは困難です。
ここでは、起業する前・した後にアドバイスを得られる相談先を挙げていきます。
1.TOKYO創業ステーション|起業に興味のある人なら誰でも
東京都中小企業振興公社の「TOKYO創業ステーション」は、起業に興味がある人なら誰でも利用できる相談窓口です。
起業に興味がある、または起業の準備を始めたばかりなら「Startup Hub Tokyo」で相談やセミナーを受けられます。
具体的に起業を考えている、事業計画を作りたいといった方は「Planning Port」で熟練コンサルタントによる事業計画書の作成支援も受けられるうえに、融資相談も可能です。
メンバー登録と希望サービスの予約が必要なので、まずはメンバー登録をしましょう。
一部を除き、ほとんどのサービスが無料で利用できるので、とくに資金力が低い間は心強いサポーターとなってくれるはずです。
2.よろず支援拠点|ゆるい起業相談から操業支援、経営相談まで
全国に配置されている中小企業基盤整備機構の「よろず支援拠点」は「自分にも事業なんてできるのだろうか?」という不安を相談できる窓口です。
まだ煮詰まっていない段階のゆるい起業相談でも、回数制限なしの無料で利用できます。
経営上のあらゆるお悩みも相談可能なので、起業後の不安やトラブルがある方にもおすすめの窓口です。
3.商工会議所|ビジネスプランや事業計画書、資金調達、起業の手続きなど
全国の商工会議所でも、創業支援・起業支援を実施しています。
セミナーの開催、創業者同士の交流会などのイベントが充実しているだけでなく、信用保証協会と提携した創業支援融資保証制度の利用にあたっても窓口となるので、起業前の資金調達や起業後のコストに関するお悩みについても良いアドバイスが得られるでしょう。
ビジネスプランの整理や事業計画書の作成、起業に関する手続き全般を相談できますが、利用には事前予約が必要です。
各地の商工会議所が開設している創業支援センターに問い合わせてみましょう。
4.中小機構|AIチャットボットによる起業相談、起業後の相談
中小機構(中小企業基盤整備機構)では、LINEを活用したAIチャットボット「起業ライダーマモル」というサービスを提供しています。
LINEで友だち追加すれば、いつでも、どんな相談でも答えてくれるので、悩みの多い起業前・起業後の「すぐに誰かから答えをもらいたい」というシーンで活躍してくれるでしょう。
経営相談チャットサービスの「E-SODAN」では、AIチャットボットへの相談に加えて専門家との直接チャットでの相談も可能です。
5.日本政策金融公庫|創業に関するアドバイスや情報提供
日本政策金融公庫が実施しているのは融資だけではありません。
これまでに数多くの創業者とかかわってきた実績をもとに、操業に関するアドバイスや情報提供をおこなう「創業前支援」も提供しています。
ちょっとした疑問などは電話相談でも解決できますし、込み入った相談なら東京・名古屋・大阪に設置されているビジネスサポートプラザのほか、全国の支店でも来店相談が可能です。
これから起業したい方に向けたメルマガも配信しているので、情報収集にも役立つでしょう。
6.会社設立の手続きに関する相談は司法書士へ
会社の設立には法務局での登記が必要ですが、登記のために必要な書類を作成・収集するだけでも大変な作業です。
起業に向けてビジネスの根幹を築くべくスキルアップや取引先へのはたらきかけを進めていくなかで、書類作成などに時間や労力をかけるのは難しいかもしれません。
会社設立の手続きに関する悩みやアドバイス・サポートが必要なら、司法書士への相談をおすすめします。
登記を代行できるのは司法書士と弁護士だけです。
相談・依頼という流れに進んだ場合、ほかの相談機関を利用していた場合はさらに依頼できる専門家を探さなくてはならないという二度手間が生じるので「自分で手続きを進めるのは難しい」と感じているなら最初から司法書士に相談するほうが利口です。
7.会計・税務に関する相談は税理士へ
起業すると、売り上げ・経費・税金など、お金に関してさまざまな悩みが発生します。
ビジネスにおいて会計・税務は切っても切れない問題ですが、会計・税務に時間や手間を割いても顧客が増えたり売り上げが急増したりするわけではないので、できるだけ省力したいものです。
また、売り上げに対して課せられる税金にはさまざまな特例があり、制度をよく理解していなければ損をしてしまいます。
最大限の節税を図るには、税務に関する詳しい知識や実務経験が欠かせません。
会計・税務に関するお悩みは、税理士に相談しましょう。
とくに起業後は相性が良い税理士をみつけて、顧問契約を結んでおけば、煩雑なお金の問題を一任できます。
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起業で失敗リスクを減らすために知っておくべき4つのこと
起業を考えていくなかで「失敗したらどうしよう?」「本当に成功できるだろうか…」といった不安を感じるのはごく当然です。
小さなトラブルが原因で足をすくわれてしまうこともあるので、むしろ、あらゆるリスクを想定して事前に対策を講じておくほうが利口だといえます。
起業は「チャレンジ」です。
ときにはチャレンジに失敗することもありますが、たった一度の起業が最期のチャレンジになってしまわないようにリスクへの備えを整えておきましょう。
フリーランスが抱える大きな3つ不安と乗り越える方法について詳しくみる
1.副業として始める
すべてを投げうって起業する覚悟も必要なときがありますが、すべてのチャレンジを「背水の陣」にするのは利口ではありません。
まずは現在の仕事を続けながら副業としてビジネスを始めれば、失敗しても現在の仕事や収入を失わずに済むので、安心してチャレンジできるはずです。
新たなビジネスに集中できる時間は少なくなりますが、経済的にも精神的にも保険をかけておき、一定の収益を超えた段階から独立・起業を目指せばリスク回避につながるでしょう。
2.スモールスタートで始める
ビジネスの考え方として「スモールスタート」という手法があります。
スモールスタートとは、最初は限定的なサービスから始めて、経営が安定してきたら需要に応じて徐々に規模を拡大していくという起業の方法です。
ビジネスモデルキャンバスを描く際は、起業というスタート地点から「こんなビジネスを成立させたい」という将来像を明確化させますが、いきなり最終目標を達成できるわけではありません。
そこで、まずはコストが低く収益が安定的な事業を手がけて地盤を固めたのちに、思い描いた目標へと徐々に進んでいくという方法を選択すれば、起業前後のコストを抑えられます。
資金不足による失敗を抑えたいなら、自社の強味や得意を活かしたスモールスタートを検討してみましょう。
3.市場調査をおこない、自社のポジションを決める
起業リスクを抑えるためには、自社に何ができるのか、起業したとき業界を見渡してどのような位置づけになるのかを明確にしておく必要があります。
オンリーワンとして市場を独占できればベストですが、やはりそんな画期的な商品・サービスを創出するのは困難です。
起業前に市場調査や競合調査を徹底しておこない、これから乗り出す業界の勢力図を割り出して自社がどのポジションに位置するのか、どこまで進出して勢力を拡大できるのかの予測を立てておかなければなりません。
ニーズに応えられず自己満足で終わってしまう、競合多数のなかで同じような商品・サービスで勝負して大敗するといった典型的な失敗を招かないためにも、市場調査や競合調査には十分な時間をかけましょう。
4.撤退ルールを決めておく
いま市場で大きなシェアを維持して成功している企業の多くは、明確な「撤退ルール」を設けています。
起業する前から「失敗したときのこと」を考えるのは恐ろしく感じるかもしれません。
しかし、一定の基準を設けて撤退ルールを明確化しなければ、そのビジネスが成功しているのか、失敗に向かっているのかさえもわからないままです。
致命的な状況であるのに気が付かないままでいれば、取り返しのつかない段階まで落ち込んでしまいます。
何度でもチャレンジするためには、一度のミスが「再起不能のミス」であってはいけません。
切り替えをして新たなチャレンジに向かうためにも、明確な撤退ルールは必須です。
さいごに
起業するには、法律上のさまざまな手続きが必要となります。
また、手続きのうえで必要な書類の作成、資金調達、物件の契約や必要な資機材の購入などに加えて、市場調査や競合調査も徹底しなければなりません。
新たなチャレンジにはリスクがつきものです。
しかし、リスクを恐れてばかりでは起業できないし、事前の準備と対策を尽くしておけばリスクを最小限に抑えることもできます。
国や行政・自治体は起業家を支援する姿勢です。
さまざまな相談窓口を開設しているだけでなく、資金面での支援策も充実しています。
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