フリーランスエンジニアの平均年収は?職種別・年収ランキングと年収をアップする方法
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IT系のエンジニアがキャリアパスを描くとき、多くは会社員として働き続けるのではなくフリーランスとしての独立・起業を考えることになるでしょう。
すでに社内エンジニアとして働いているなら、先輩・同僚がフリーランスに転向していった姿をみながら「いつかは自分も!」と思い描いているエンジニアも少なくないはずです。
しかし、フリーランスへの転向には不安がつきまといます。
とくに収入面への不安は大きく、今よりも給料はアップするのか、どのくらいの年収が得られるのかといった点が気がかりでフリーランスへの転向をためらっているエンジニアは多いでしょう。
フリーランスエンジニアの年収の実態を紹介します。
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溝口 弘貴
つなぐマーケティング代表
電気工事士からWeb業界に転職して10数年。現在はフリーランスとしてクライアントサイトのマーケティング支援や自社メディアの運用などをおこなっています。ネットマーケティング検定やIMA検定などIT関連の資格を8つもっています。運営者情報はこちら
本記事でわかること
フリーランスに占めるエンジニアの割合
IT系エンジニアは、フリーランスに転向する傾向がとくに強い職種のひとつです。
この傾向は、フリーランスを対象にした調査でも明らかになっています。
フリーランスの17.2%を占めているのがエンジニア
フリーランスの国内最大級ネットワークである「フリーランス協会」は、おもに協会員を対象とした調査の結果を「フリーランス白書」というかたちで公開しています。
フリーランス白書2022によると、調査に応じたフリーランスのうち、全体の17.2%がエンジニア・技術開発系の職種でした。
一言でフリーランスといっても職種はさまざまですが、エンジニアが占める割合は全体で第2位です。
多くのエンジニアが、会社という枠を飛び出してフリーランスに転向しているという現状は明らかだといえるでしょう。
エンジニアの多くが「収益重視」
同じ調査では、職種別に仕事を選択するときの重視度にも注目しています。
ほかの職種では最重視するポイントに「自由度」を掲げた人が多かったなかで、エンジニアが最重視するポイントの第1位は「収益」でした。
「自由度よりも収益重視」という傾向が強い職種はめずらしく、そのなかでもエンジニアの収益重視の姿勢はとくに顕著です。
フリーランスエンジニアの多くが収益を重視して仕事を選んでいるという現状に照らすと、収入アップの伸びしろは大きいといえるでしょう。
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職種別・フリーランスエンジニアの平均年収
一言で「フリーランスエンジニア」といっても、細かい職種で区別すると年収には大きな差があります。
IT系のフリーランスエンジニアについて、職種別に平均年収を紹介しましょう。
システムエンジニア
定義ははっきりとしていませんが、開発現場では主にシステム設計や指示をおこなうのがシステムエンジニアです。
省略して「SE」とも呼ばれています。
フリーランスのシステムエンジニアの平均年収は700万~1,000万円です。
ただし、定義が難しいだけあって業務の範囲も広範であり、年齢や個人のスキルによって差が生じやすいので、700万円を大きく下回っていたり、1,000万円を上回っていたりするシステムエンジニアも存在しています。
プログラマー
システムエンジニアの設計に従ってソースコードを記述するのがプログラマーです。
フリーランスプログラマーの平均年収は600万円程度といわれています。
システムエンジニアと同じで定義が難しく、プログラマーといっても扱う範囲が異なることも多いので、業務内容によって差が生じやすいのが特徴です。
プログラミング一本で大きく稼ぐ人がいる一方で、あれもこれもと色々な業務を扱うようになると思ったほどは稼げない器用貧乏に陥ってしまうかもしれません。
ネットワークエンジニア
ネットワークの設計・構築・運用・保守を担当するのがネットワークエンジニアです。
平均年収は600万~700万円程度だといわれています。
エンジニアのなかでも技術職としての性格が強く、運用・保守では客先で常駐するかたちで長期の案件を得られるケースが多いのが特徴です。
フリーランスエンジニアのなかでは安定性が高い職種だといえます。
データベースエンジニア
データベースへのデータ保存や必要なデータを取り出しやすくするためのシステムを構築・運用するのがデータベースエンジニアです。
平均年収は500万~600万円が相場ですが、近年はとくにデータベースが担う役割が重視されているので、案件を厳選すればもっと高収入を狙えます。
Oracle・MySQL・PostgreSQL・Microsoft SQL Serverなどの知識が求められるので、オラクル社のORACLEMASTERやマイクロソフト社の認定MCPといった資格があると有利です。
webエンジニア
webサイト・モバイルサイト・ECサイト・ITシステム・アプリケーションなどの設計・開発・運用・保守といったweb開発全般をおこなうのがwebエンジニアです。
業務内容が広範にわたり案件やポジションによって業務量に大きな差があるので、平均年収も500万~700万円と幅が広くなっています。
デザインやコーディングといった技術的な業務だけでなく、企画・マーケティングといったスキルも備わっていれば上流工程に携われるので、スキル・経験次第では高収入が期待できる職種です。
フロントエンドエンジニア
webブラウザ側のシステム構築を担い、webサイトやランディングページの制作などをおこなうのがフロントエンドエンジニアです。
平均年収は500万円程度だといわれています。
webエンジニアと同じで上流工程にかかわるほど年収はアップしていく傾向があるので、実績を重ねてクライアントに認められていけば平均年収の枠にとらわれない高収入を得るのも不可能ではありません。
制御・組み込みエンジニア
家電製品やスマートフォンなどの端末を制御するシステムを開発・設計するのが制御・組み込みエンジニアです。
プログラミングやOSの知識だけでなくハードウェアの知識も求められるほか、海外製品の仕様書を読み取る機会も多いので英語のスキルがあると重用されやすい傾向があります。
平均年収は600万円です。
制御・組み込みエンジニアは、IT系エンジニアの分野でも人材不足が顕著な職種だといわれています。
とくに若手が少ないのが特徴なので、制御・組み込みに特化してスキルと経験を積み重ねていけば若手のうちからでも高収入が期待できるでしょう。
テストエンジニア
ソフトウェアや製品などが仕様書どおりに動作するか、バグ・エラーがないかをテスト・検証するのがテストエンジニアです。
従来は「新米エンジニアの仕事」という感覚が強く、今でもシステムエンジニアなどが兼業する現場を見かけます。
テスト工程を専門に担当するエンジニアを雇用する企業は少ないので、テストエンジニアはフリーランスが活躍しやすい職種だといえます。
平均年収は400万~500万円です。
ソフトウェアの複雑化、セキュリティの高度化などを背景にテストエンジニアの責任は重くなっています。
新米・兼業で済ませるのではなく、経験値が高いエンジニアが求められる傾向が強まってきたので、フリーランスエンジニアとしてはチャンスが広がっていると考えるべきでしょう。
ブリッジSE
異なる言語や文化をもつメンバー間の橋渡しをするのがブリッジSEです。
コスト削減を目的に海外エンジニアに仕事を依頼するオフショア開発、国内でも人件費を抑えられるエンジニアに仕事を依頼するニアショア開発を駆使してプロジェクトを進めます。
IT系の知識やスキルだけでなく、語学力や異文化への理解、プロジェクト全体を管理するマネジメントスキルやメンバー間の信頼を高めるコミュニケーションスキルが求められる、難しいポジションです。
平均年収は500万~800万円だといわれています。
ニアショア開発よりもオフショア開発の必要が高い案件ほど年収が高くなる傾向があるようです。
海外への出張や常駐も発生しやすいため自由度は低くなりますが、案件次第では高収入を期待できる職種だといえます。
プロジェクトマネージャー
IT開発をおこなうプロジェクトチームの責任者として、プロジェクト実行計画の作成・予算・要員・進捗の管理などをおこなうのがプロジェクトマネージャーです。
省略して「PM」とも呼ばれています。
平均年収は550万~650万円が相場ですが、リーダーとしてのポジションであるためチーム内での収入は高く設定されているのがセオリーです。
フリーランスに転向すれば年収はアップする?社内エンジニアとの比較
会社員からフリーランスへの転向を考えるにあたって「今よりも年収はアップするのか?」は重要な判断材料になるでしょう。
フリーランスエンジニアと社内エンジニアの年収を比較してみます。
社内エンジニアの平均年収
転職サイト「マイナビ転職」では、掲載された求人のモデル年収例から職種別のモデル年収をランキング化して公開しています。
IT系エンジニアで100位以内にランクインしている職種と平均年収は次のとおりです。
順位 | 職種 | 平均年収 |
---|---|---|
2位 | システムアナリスト | 1,295万円 |
6位 | システムコンサルタント(業務系) | 974万円 |
13位 | セキュリティコンサルタント | 800万円 |
28位 | 社内情報化戦略・推進 | 657万円 |
29位 | プロジェクトマネージャー(web・オープン・モバイル系) | 655万円 |
30位 | パッケージ導入コンサルタント(ERP・SCM・CRM等) | 651万円 |
31位 | システムコンサルタント(ネットワーク・通信) | 643万円 |
39位 | プロダクトマネージャー(パッケージソフト・ミドルウェア) | 628万円 |
51位 | プリセールス・セールスエンジニア | 601万円 |
59位 | プロジェクトマネージャー(汎用機系) | 597万円 |
67位 | システムエンジニア(アプリ設計/汎用機系) | 589万円 |
71位 | プログラマー(パッケージソフト・ミドルウェア) | 587万円 |
73位 | ネットワーク設計・構築(LAN・WAN・インターネット) | 584万円 |
79位 | サーバ設計・構築(LAN・WAN・インターネット) | 578万円 |
94位 | ネットワーク運用・監視 | 560万円 |
95位 | システムエンジニア(アプリ設計/web・オープン・モバイル系) | 559万円 |
96位 | プログラマー(汎用機系) | 557万円 |
98位 | システムエンジニア(DB・ミドルウェア設計/web・オープン・モバイル系) | 554万円 |
【参考元】2022年版 職種別 モデル年収平均ランキング|マイナビ転職
上位にランクインし、1,000万円を超える職種もありますが、一般的な社内エンジニアだと上位職とされるプロジェクトマネージャーでも651万円で、以下、550万~600万円の間が多いという結果でした。
このランキングを参考にすると、社内エンジニアの平均年収は550万~650万円が相場だといえるでしょう。
同じ職種でもフリーランスのほうが年収は高い
IT系エンジニアの年収は職種によって差がありますが、フリーランスエンジニアの平均年収は600万~700万円あたりが相場です。
社内エンジニアの平均年収が550万~650万円なので、フリーランスへの転向によって年収が100万円程度は高くなると考えていいでしょう。
ほかの業界からの転職でも収入アップが見込める
社内エンジニアからの転向だけでなく、IT系エンジニアではない業界・職種からフリーランスエンジニアに転職した場合でも収入アップが見込めます。
webエンジニアスクールを経営している「RaiseTech」が実施したアンケートによると、ほかの業種からフリーランスエンジニアに転向した人の多くが「収入がアップした」と回答していることがわかりました。
引用元:【エンジニアは自由な働き方ができる!?】現役フリーエンジニアに調査!気になる労働時間や労働場所が判明!|PR TIMES
このアンケートによると、5万~30万円アップを実現した人は全体の半数以上で、しかも転向から半年~2年未満の短期間で収入がアップしていると回答しています。
1年目から10万円以上の収入アップも夢ではありません。
いまの給料に満足していないなら、ほかの業界からでもフリーランスエンジニアへの転向を考えたほうがいいでしょう。
もちろん、すでにIT業界で働いているならもっと早い収入アップが見込めるはずです。
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フリーランスエンジニアが年収をアップするために心がけるべきポイント
平均年収のデータをみれば、社内エンジニアよりもフリーランスエンジニアのほうが高収入です。
ただし、やみくもに独立しても年収アップを実現できるわけではありません。
むしろ、フリーランスへの転向後、どのように振る舞うのかのほうが重要です。
フリーランスエンジニアが年収アップを実現するために心がけたいポイントを挙げていきましょう。
ポイント①:営業スキルを高める
どんなに高度なスキルをもっていても、案件を取得できなければ意味がありません。
会社員のころは自社案件を扱っていたり営業担当者が大きな契約をもってきたりしていたはずですが、フリーランスになると自分で案件を取得しなければ自分のスキルを活かす場さえもなくなってしまいます。
営業が苦手だとしてもフリーランスになった以上は避けられないので、営業スキルの向上は必須です。
臆せず交渉をもちかける、実績や資格を積み上げて交渉ツールにするなど、営業スキルを高めていきましょう。
フリーランス向けのエージェントサービスも積極的に活用しよう
営業はセンスが問われるものでもあります。
話術や相手の心を掌握する技術は天性の才能として備わっているものだと考えていいし、営業スキルを高めることばかりに集中して本業がおろそかになるようでは本末転倒です。
どうしても営業が苦手なら、フリーランス向けのエージェントサービスを活用するといいでしょう。
エージェントサービスに登録すれば、プロのエージェントがスキルに応じてエンジニアとクライアントをマッチングしてくれます。
自分で営業して案件を取得したり、みずから案件に応募するクラウドソーシングサイトを利用したりといった方法よりもミスマッチが起きにくいので、フリーランスエンジニアはエージェントサービスの活用がとくに適している職種です。
ポイント②:常にスキルアップを目指す
フリーランスは「今のまま」では評価されない立場だと心得ておいてください。
新しい技術を学び、今よりも多くのスキルを修得することで、新規案件や継続契約を取得できるチャンスが広がり、年収アップも期待できます。
とくにエンジニアの業界はニーズの変化が激しいので、常にスキルアップを目指す姿勢を忘れてはいけません。
ポイント③:案件を慎重に見極める
年収アップのためには案件の「見極め」も大切です。
たとえば、経験値が低い駆け出しのタイミングやつながりをもっているクライアントが少ない間は、相場よりも低単価の案件でも積極的に取得して物量で収入アップを目指す必要があります。
しかし、それなりに経験を積み上げて自信がついたら、低単価の案件をもちかけられても断る姿勢も必要です。
「損して得取れ」という格言もありますが、安請け合いになってしまわないように案件を見極めていきましょう。
ポイント④:交渉力を高める
IT系エンジニアのなかには、保守などのように案件が継続しやすい傾向の職種も存在します。
案件が継続すれば収入は安定しますが、同じ条件・単価で受託を続けていても年収は横ばいのままです。
機会をみて単価アップを求めなければ年収アップは望めないので、クライアントとの信頼を高めたうえで実績などの材料を積み上げて交渉を有利に運べるように下準備を進めましょう。
ポイント⑤:人脈を広げる
現役フリーランスの多くは、案件の取得に「人脈」を活かしています。
フリーランス白書2022によると、現役フリーランスが最も高い収入を得られる案件をみつけた経緯について「人脈」を活かしたと回答しました。
人脈を広げておけば、高単価・好条件の案件が得られるチャンスも広がります。
会社員時代の取引先や同じように独立・起業した上司や同僚などとも交流を重ねて、いつでも声をかけてもらえる体制を整えておくといいでしょう。
エンジニア同士がオフラインで交流する会合などにも積極的に参加しておけば、思いがけず好条件の案件に出会えるかもしれません。
出会いを大切にすることも、フリーランスエンジニアとして成功する秘訣のひとつです。
さいごに
社内エンジニアと比べると、フリーランスエンジニアのほうが高収入を期待できます。
もちろん「フリーランスになるだけで年収アップ!」などという都合のいい話ではありませんが、自分の努力が年収アップという成果として反映しやすいのもフリーランスエンジニアの楽しいところです。
いまの収入や働き方に満足できていないなら、フリーランスエンジニアへの転向・転職を前向きに検討してみましょう。
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