個人事業主がバーチャルオフィスを利用する際の納税地やメリット・デメリットを徹底解説
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近年、バーチャルオフィスを利用する個人事業主や企業が増えています。
ITコンサルティング・調査会社のITR社によると、2020年のバーチャルオフィス市場は3億2,000万円規模で前年度比6.4倍ほどに成長しており、2025年には95億円規模にまで成長すると予測されています。
バーチャルオフィスの利用を検討している方で納税地はどうなるのか、利用にあたり知っておくべきことがあるのかという悩みをもつ方は少なくないでしょう。
本記事では、個人事業主がバーチャルオフィスを利用する際の注意点や納税地をバーチャルオフィスにする際のメリット・デメリット、手続きに必要な書類について解説します。
溝口 弘貴
つなぐマーケティング代表
電気工事士からWeb業界に転職して10数年。現在はフリーランスとしてクライアントサイトのマーケティング支援や自社メディアの運用などをおこなっています。ネットマーケティング検定やIMA検定などIT関連の資格を8つもっています。運営者情報はこちら
本記事でわかること
個人事業主がバーチャルオフィスを利用する際に知っておくべき注意点
個人事業主がバーチャルオフィスを利用する際に知っておくべき注意点を解説します。
開業を考えている方、事業所をどうすべきか悩んでいる方は以下の4点をチェックしてみてください。
- 個人事業主は納税地として「住所地・居所地・事業所」の住所が利用できる
- 業種によってはバーチャルオフィスの利用ができない
- 自宅とバーチャルオフィスにかかる費用はどちらも経費として計上ができる
- 納税地を変更する場合は速やかに各種異動届を提出する必要がある
個人事業主は納税地として「住所地・居所地・事業所」の住所が利用できる
個人事業主は、納税地として「住所地」「居所地」「事業所」の住所を利用することができます。
国税庁が定める納税地の定義は、以下のとおりです。
引用元:納税地はどこですか?|国税庁
住所地とは、自宅などの実際に生活をしている拠点を意味します。
居所地は、国内に自宅をもたない海外在住者などが国内で拠点とする場所のことです。
事業所は、
原則として開業届に記載する納税地は住民票のある場所、つまり住居地とされています。
しかし、納税地の特例により、居所地や事業所を納税の申告先として記載することも可能です。
業種によってはバーチャルオフィスの利用ができない
基本的にバーチャルオフィスを事業所として登記することは可能ですが、一部の業種によっては違法となり、バーチャルオフィスの利用ができないケースがあります。
該当する業種は、以下のとおりです。
- 職業紹介業
- 人材派遣業
- 士業(税理士、司法書士、行政書士、弁護士など)
- 建設業
- 廃棄物処理業
- 古物商・中古品販売
- 不動産業・宅建業
- 探偵業
- 風俗営業
- 金融商品取引業者
これらの業種は開業時や事業に、必要な許可を取得する際に定められた要件を満たす実態のある事業所を登記しなければなりません。
たとえば、人材派遣業の一般労働者派遣事業では20平方メートル以上の事務所が義務づけられています。
別の例として、探偵業は事務所機能さえあればよさそうなイメージがあります。
しかし、実際は警察署経由で各都道府県の公安委員に事務所の所在地を記入した営業届を提出しなければならないため、住所貸しのバーチャルオフィスの利用は認められていません。
自宅とバーチャルオフィスにかかる費用はどちらも経費として計上ができる
バーチャルオフィスを事業で利用するのであれば、月額料金を経費として計上可能です。
自宅も同様で、仕事での利用であれば必要な光熱費・家賃を経費にできます。
バーチャルオフィスは基本的に住所貸しであり、物理的な事務所の賃貸ではないため、勘定科目は「支払手数料」で計上するのが一般的です。
一方で、自宅兼事務所とする際には、自宅の家賃は「地代家賃」で計上します。
物理的な場所を賃貸するレンタルオフィス・シェアオフィスも同様です。
バーチャルオフィスを納税地とする場合には、自宅の光熱費は経費として認められない可能性があるため、注意が必要です。
経費とするには、開業届の「納税地」「上記以外の住所地・事業所等」の欄に、自宅住所、バーチャルオフィスの住所の両方を記載しなければならないことを覚えておきましょう。
納税地を変更する場合は速やかに各種異動届を提出する必要がある
個人事業主が事業所とする自宅の引越しや、拠点としているバーチャルオフィスの変更で納税地が変わる場合には、「所得税・消費税の納税地の移動に関する届出書」を提出しなければなりません。
提出先は、異動前の所轄税務署長です。
届出は、確定申告の際に申告書に変更後の納税地を記入して提出することでも可能です。
年の途中で納税地を変更する場合で、国税当局からの各種文書の送付先を新しい納税地としたい場合には、異動届を提出しましょう。
事業の廃止や事務所等の移転があった場合は「個人事業の開廃業等届出書」の提出が必要です。
個人事業主がバーチャルオフィスを納税地にするメリットとデメリット
個人事業主がバーチャルオフィスを納税地にするメリット・デメリットには、以下のような内容が挙げられます。
メリット | デメリット |
---|---|
✓都心の一等地住所を利用できる ✓自宅住所を公開しないで済む ✓賃貸オフィスと比べて契約や審査が簡単でかつ安い ✓居住地を引っ越した場合でも個人事業に関わる届出が不要 ✓法人登記も可能 ✓バーチャルオフィスが提供しているサービスを受けられる |
✓郵便物がすぐに届かない ✓一定の利用料(コスト)がかかる ✓他の利用者と住所がかぶってしまう ✓法人化するとき口座開設が難しい場合もある |
都心の一等地住所を利用できることや、さまざまなコストを抑えられることが大きなメリットといえます。
実際に物件を借りるとなると、初期費用の負担だけでなく、物件探しに時間がかかることも懸念点となります。
バーチャルオフィスであれば、賃貸契約にかかる費用や労力を抑えられ、審査や契約もスムーズに進むでしょう。
さらに、自宅の住所を公開しなくてもよいため、個人のプライバシーが守れるなどのメリットもあります。
一方、実際に業務をおこなっている場所ではない住所を登記しているため、郵便物が届くまでに時間がかかるというデメリットなどがあります。
さらに、価格の安いバーチャルオフィス事業者を利用している場合、ほかの利用者と住所が重複しているため、郵便物の紛失や誤開封されてしまうこともあるでしょう。
また、法人化を検討している方は、法人口座を開設する際に審査通過が難しくなることがあるため、慎重に決めることをおすすめします。
メリット・デメリットをよく比較し、自分の希望に合っているかどうかを見極めることが大事です。
個人事業主がバーチャルオフィスを事業所として利用する際の流れと必要書類
次に、個人事業主がバーチャルオフィスを利用する際の流れと必要書類を確認していきましょう。
以下4つの流れに沿って解説していきます。
- 希望に合ったバーチャルオフィスを探して利用を申し込む
- 必要書類を提出して入会審査を受ける
- 契約し利用料金を支払う
- 住所が確定したら開業届または異動届を税務署に提出する
1.希望に合ったバーチャルオフィスを探して利用を申し込む
バーチャルオフィスを選ぶ際には、以下のポイントで比較することをおすすめします。
- 月額料金
- 月額料金以外にかかる費用(入会金などの初期費用の有無)
- 最低契約期間はあるか
- 郵便物が転送される頻度
- 自宅からの距離
- 物理的な作業スペース・会議室などの設備
- 法人登記が可能か
- オフィスは有人か無人か
それぞれのバーチャルオフィスの特徴や料金を比較し、自分が求めるサービスに合った候補をいくつか絞り込みます。
気になることがあれば問い合わせたり、実際に行って見てみたりしましょう。
最終的に条件に合ったバーチャルオフィスに申し込んでください。
2.必要書類を提出して入会審査を受ける
次は、契約に向けて必要書類を提出し、審査を受けます。
個人事業主がバーチャルオフィスを契約するのに必要な書類には、以下のようなものが挙げられます。
- 写真付き身分証明書
- 住民票
- 個人の印鑑証明書
- 自宅公共料金の明細や請求書のコピー
必要書類は本人確認、現住所、転送希望住所などが確認され、事業内容や個人情報に偽りや間違いがないか審査されます。
バーチャルオフィスによりますが、早ければ即日、遅くとも1週間以内には審査結果が出ることが多いです。
3.契約し利用料金を支払う
審査に通過したら初期費用や月額料金を支払い、契約します。
支払い方法はクレジットカードのほか、口座振替や銀行振込が一般的です。
月払いではなく年払いにすることで料金が割引になるキャンペーンを展開しているバーチャルオフィスもあるので、確認しましょう。
4.住所が確定したら開業届または異動届を税務署に提出する
入金後、確認が取れたら契約完了となり、事業所としての住所・電話番号などの案内がバーチャルオフィスから届きます。
多くの場合、支払い後すぐにサービスを利用できますが、あらかじめバーチャルオフィスの運営会社に確認しておくとよいでしょう。
事業所の住所が確定したら、納税地の税務署に開業届または異動届を提出します。
個人事業主がバーチャルオフィスを利用する際によくある疑問
ここからは、個人事業主がバーチャルオフィスの利用を検討する際によくある疑問を紹介します。
コスパの良さや一等地の住所を利用できることなど、メリットは多いものの、不安や疑問に思う点もあることでしょう。
ぜひ参考にしてみてください。
Q1.複数の個人事業主で同じバーチャルオフィス住所を登録することは可能ですか?
バーチャルオフィスを個人事業主3人で借りて登録することできますか?屋号もできれば同じにしたいです。3人でやっていて、法人化する予定な無いので個人事業主のままがいいです
引用元:Yahoo!知恵袋
しかし、屋号の登録や変更において、同じ住所での屋号の重複には注意が必要です。
同じ住所での屋号の重複は違法ではありませんが、バーチャルオフィスによっては重複した屋号の登録を禁止しているところもあります。
同じ屋号での登録を検討する際には、バーチャルオフィスの運営会社に事前に確認しましょう。
Q2.バーチャルオフィス住所で事業用口座を開設する際の注意点を教えてください
個人事業主の屋号で口座開設しますが、バーチャルオフィスの住所で口座を開設する際に注意する点などありましたら教えていただけますか?よろしくお願い致します。
引用元:Yahoo!知恵袋

溝口
バーチャルオフィスの住所での事業用口座の開設は可能ですが、以下の点に注意が必要です。
- 過去に住所が犯罪に使われていないか
- 事業の実績があるか
- バーチャルオフィスでの登記が完了しているか
契約するバーチャルオフィスの住所で事業用口座を開設した人が過去にいるかどうか、実績を確認することが大事です。
また、過去に犯罪に使用されたことがある場合、口座開設は難しくなります。
バーチャルオフィスでの登記が完了しており、事業の実績があると口座開設がスムーズにできる可能性が高いです。
事業の実態の確認のために、銀行から開業届などの提出を求められる場合もあります。
Q3.ヤフーショッピングへの出店やネットショップの運営でもバーチャルオフィスの住所は利用できますか?
ヤフーショッピングに個人事業主として出店する場合の必要書類、賃貸借契約書ですがバーチャルオフィスの契約書で良いのでしょうか?
それとも自宅の賃貸借契約書じゃないとダメですか。自宅住所を公開するのは嫌なのでバーチャルオフィスの住所でやろうと思ってましたが、どうなのでしょうか。引用元:Yahoo!知恵袋

溝口
ネットショップ運営でも特定商取引法が定める要件を満たしていれば、バーチャルオフィスの住所の利用は可能です。
ただし、消費者が連絡を取れないような状況が発生した場合、特定商取引法の表示義務を果たしたとは認められないため注意が必要です。
Q4.会社員(個人)が副業するためにバーチャルオフィス住所を利用できますか
バーチャルオフィスは、サラリーマンの一般人でも契約して利用できるのでしょうか?
当方、自分の会社を持っている起業家でもなく、かつフリーランス等の個人事業主でもない、“サラリーマンの一般人”なのですが、諸事情からバーチャルオフィスを利用したいのです。可能なのでしょうか?引用元:Yahoo!知恵袋

溝口
会社員の副業であっても、バーチャルオフィスの住所の利用は可能です。
個人事業主がバーチャルオフィスの利用をするなら「サーブコープ」がおすすめ
個人事業主がバーチャルオフィスを納税地とするメリットはさまざまです。
しかし、どのバーチャルオフィスを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。
そこでおすすめなのが、「サーブコープ」です。
40年以上前からバーチャルオフィスを運営しているパイオニアであり、長年の経験から積み重ねたノウハウでさまざまなニーズに対応しています。
サーブコープは2025年2月時点で、世界150か所以上・国内30か所に拠点を構えており、都心の一等地に法人登記が可能な住所を提供しながら最新のセキュリティ設備を完備しています。
さらに、郵便物転送サービスや月60時間までコワーキングスペースを利用できるパッケージ、常駐のバイリンガル秘書、高度なデータインフラ、24時間対応のITサポートなどの充実したサービスを提供しているのが大きな特徴といえるでしょう。
さいごに|注意点を理解してバーチャルオフィスを有効利用しよう
バーチャルオフィスの利用は、個人事業主にとってメリットが多く、便利な選択肢です。
納税地としての利用も可能ですが、業種によっては利用できない場合や郵便物の受け取りなど知っておくべき注意点も多くあります。
また、開業届や異動届の提出、事業用口座の開設には慎重に対応することが求められるでしょう。
サーブコープなら、バイリンガル秘書や24時間対応のインハウスITサポート体制により、効率的に業務を進められます。

溝口
メリットとデメリットを十分に理解したうえで、自身の事業に合ったバーチャルオフィスを選びましょう。
溝口
複数の個人事業主で同じバーチャルオフィスの住所を登録することは可能です。