副業を認めていない企業は3割以上!?正社員392人に副業に関するアンケート調査
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2018年は副業解禁元年とも呼ばれており、2018年以降、国が会社員の副業・兼業を促進する動きを加速させております。
国家・地方公務員の副業・兼業も条件付きで許可されており、一般企業にも副業解禁の流れは押し寄せています。
しかし、実際にどれぐらいの一般企業が副業を認めているのでしょうか。
また、副業をしたことによって会社員の意識がどのように変化したかも気になるところです。
そこで今回は、企業に正社員として勤めていて、かつ副業をしている方を対象に、副業に関するアンケート調査を実施しました。
これから副業を始めようと考えている方や、企業で管理職等をされている方も参考にしてみてください。
【アンケート調査について】
調査対象:企業で正社員として働いている方、副業で少しでも稼いでいる方
調査人数:392人
調査日 :2021年10月9日~2021年10月12日
調査方法:インターネットによるアンケート調査
<回答者の属性(性別・年代)>
男性:268人(68.4%)、女性:124人(31.6%)
20代:69人(17.6%)、30代:141人(36.0%)、40代:123人(31.4%)、50代:52人(13.3%)、60歳以上:7人(1.8%)
本記事でわかること
副業を認めている会社は実際どれぐらい?
一般企業の副業認否の現状を知るため、「現在就業している会社で副業は認められていますか?」と質問したところ、「認められている」は41.6%に留まり、「認められていない」という回答も30.1%となりました。
「分からない」と回答した方も28.3%いるため、30%という数字は最低ラインと考えておいたほうがよいでしょう。
国が副業を推進しているといっても、決して法律ではありませんので、副業を認めていない一般企業も一定数はあると考えたほうがよいでしょう。
将来的に、転職や就職活動をする際に、副業が許可されているかどうかが企業を選ぶ理由になるかもしれませんね。
会社に副業していることは伝えている?
会社が副業を認めているとしても、会社の人にはあまり知られたくないものです。
「副業していることを会社に伝えていますか?」と聞いたところ、8割以上の方が会社には伝えていないことがわかりました。
会社で副業が認められていても、就業規則に「副業する場合は会社に申告すること」等と記載されている場合もありますので、認められている場合は、伝えておいたほうがよいでしょう。
副業による本業のデメリットはある?
副業をすることは本人にとってメリットしかありませんが、本業に悪影響が出てしまう場合があります。
「副業で生じた本業へのデメリットはありましたか?」と複数選択形式で聞いたところ、「特になし」と回答した方が最多となりましたが、本業に支障をきたしてしまったり、体調を崩してしまう方も一定数いることがわかりました。
「その他」と回答した人の詳細を一部ご紹介します。
上記で「その他」と回答した人の詳細
- 「体調を崩すほどではないが、二足のわらじはなかなか大変です。」(50代女性/販売員)
- 「副業に入り込み過ぎて、寝不足が生じ、本業に身が入らなかったです。」(40代女性/不動産業)
- 「睡眠時間が足りない時があるため日中運転中眠くなることがあり居眠り運転の兆候がある。」(20代男性/会社員)
- 「本業に対して働くモチベーションが下がってしまった。」(20代女性/英会話講師)
- 「本業に対してのモチベーションが下がり、職場の人間関係が悪くなった。」(20代男性/倉庫作業員)
- 「会社の同僚にあまりいい印象をあたえない。」(60歳以上男性/総務)
- 「本業との予定の調整が重複し周囲の理解を得られなかった。」(50代男性/システムエンジニア)
- 「副業の方が楽なので、副業の時間を増やすために本業のシフトを減らしてしまった。」(20代男性/内装施工)
本業に支障をきたすほどではないけれど、睡眠不足や疲れを感じている人、副業によって本業のモチベーションが下がってしまったという人もいるようです。
副業のやりすぎには十分注意しましょう。
会社への帰属意識の変化について
ここからは、副業を始めたことによる意識の変化について見ていきましょう。
「会社への帰属意識は変化しましたか」と聞いたところ、「変わらない」76.3%、「低くなった」17.1%、「高くなった」6.6%となった。
会社への帰属意識が低くなった人の平均副業月収は約4万円で、高くなった人の平均は約2万4千円でした。
副業で多少稼げるようになってくると、(会社で頑張らなくても)自分で稼げるという意識が芽生えるため、帰属意識は低くなる傾向にあるようです。
逆にあまり稼げていない方は、自分でやっても大して稼げないから、やっぱり会社で頑張ろうとなります。
本業のモチベーションの変化について
「本業へのモチベーションは変化しましたか」と聞いたところ、「変わらない」73.7%、「低くなった」15.8%、「高くなった」10.5%となった。
副業による本業のデメリットでもあったように、副業を頑張りすぎて本業が疎かになってしまうことがあります。
平日に仕事が終わってから副業に時間を使うという人も多いため、寝不足で就業中にボーっとしてしまったり、副業の時間を増やすために本業のシフトを減らしたという人もいるようです。
本業のスキルの変化について
「本業でのスキルは変化しましたか」と聞いたところ、「変わらない」75.0%、「高くなった」24.2%、「低くなった」0.8%となった。
これは、本業と同じ仕事で副業をするか、全く違う仕事で副業をするかにもよります。
本業と副業が同じ仕事内容であれば、間違いなくスキルは向上しますし、本業でお客様と直接やり取りする機会が少ないという方は、副業でコミュニケーションスキルも高められるでしょう。
今後も副業は続ける?
「今後も副業を続けますか」と聞いたところ、「続ける」が87.5%となり、9割近い人が続けると回答しました。
独立する考えはありますか
「独立はまだ考えていない」が49.2%だったものの、32.1%の方が独立したい・する予定という意向を持っていることがわかりました。
調査結果のまとめ
今回の調査結果で、副業について以下の実態がわかりました。
- 副業を認めていない企業は3割以上
- 会社に副業していることを伝えていない人は84%
- 副業による本業へのデメリットは「特になし」が最多
- 本業に支障をきたすほどではないが疲れを感じている人も多い
- 会社への帰属意識、本業のモチベーション、本業のスキルは「変わらない」が7割以上
- 今後も副業を続けると回答した人は87%
- 独立の意思を持っている人は32%
企業も従業員が副業をすることで、会社への帰属意識やモチベーション、スキルが向上するなど、メリットが多ければ手放しで容認するかもしれません。
しかし今回の調査結果を見る限りでは、企業側に副業が受け入れられることは、なかなか難しいように思います。
労働者側も益々隠れて副業をするようになり、隠れ過重労働やモチベーションの低下につながってしまう可能性もあるので、企業側にも労働者側にも注意が必要です。
副業・兼業が、公に受け入れられる世の中になることを切に願っています。