フリーランス400人に聞いた!働き方や年収、悩みに関する実態調査
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2020年に内閣官房が発表したフリーランス実態調査によると、日本のフリーランス人口は約462万人で、前年より121万人ほど増加していることがわかりました。
フリーランスの「場所や時間にとらわれない働き方」に憧れを持っている人は増えてきていますが、実際の労働環境や満足度はどうなんでしょうか。
今回フリーランスの働き方について、フリーランスをしている400人に対してアンケート調査をおこなった結果、フリーランスの年収や抱えている悩み・不安など、フリーランスの実態が見えてきました。
【アンケート調査について】
調査対象:フリーランスとして働いてる方
調査人数:400人(男性171人/女性229人)
調査日:2021年08月01日~2021年08月04日
調査方法:インターネットによるアンケート調査
本記事でわかること
独立系フリーランス?それとも副業系フリーランス?
最初に、「あなたは独立系フリーランス or 副業系フリーランス?」と質問したところ、「独立系」は32.5%、「副業系」は67.5%でした。
フリーランスの活躍を支援しているフリーランス協会によると、フリーランスは独立系(個人事業主、専業)と副業系(会社員や主婦など)に分けられます。
フリーランスというと、独立して仕事をしている人のイメージが強いですが、実は副業でもフリーランスと呼ばれています。
副業系フリーランスが増えている背景には、2018年に厚生労働省によりモデル就業規則が「労働者は勤務時間外において他の会社等の業務に従事することができる」と改定されたことが要因の一つと考えられます。
このことにより、2018年は「副業元年」と呼ばるようになりました。
副業であればリスクはほとんどありませんので、まずは副業から始めて安定的に収入が得られる目処が立ってから独立したほうがリスクは少なくできるでしょう。
フリーランスの経験年数は1年未満が4割以上
「フリーランスになって何年目ですか?」という質問には、「1年目」と回答した人は42.5%と最多となり、「4年以上」が26.3%で2番目に多い結果となりました。
日本では2008年にランサーズが設立されて以来、クラウドソーシングサービスを提供する会社が増え、誰でも気軽にネット上で仕事を発注・受注できるようになりました。
企業がクラウドソーシングを利用して仕事を発注し、会社員や主婦がお小遣い稼ぎのために副業を始めるケースが増えてきています。
年々フリーランス人口が増加している傾向から、フリーランスを始めて1年目の人が多いのも納得ができます。
フリーランスの職種で一番多かったのは?
「何の職種でフリーランスをやっていますか?」と自由記入形式で聞いたところ、TOP5の職種は以下のようになりました。
順位 | 職種 | 人数 |
---|---|---|
1位 | ライター(Web、キャッチコピー、ネーミング) | 233 |
2位 | デザイナー(Web、グラフィック、イラスト) | 28 |
3位 | エンジニア(IT、ソフトウェア、ロボット) | 17 |
4位 | データ入力・タスク業務 | 15 |
5位 | 翻訳家 | 10 |
フリーランスに多い職種第1位は「ライター」、2位「デザイナー」、3位は「エンジニア」でした。
ライターになるのは専門的なスキルや資格などが不要なため、比較的始めやすい職種といえます。
また、企業からの記事作成やコンテンツ作成のニーズが高い(案件数が多い)ことも、ライターを選ぶ理由となっています。
デザイナーやエンジニアなど専門職は、その職業だけしている人が多いですが、ライターの場合はライターと他の仕事(動画編集・コンサルタント・栄養士・講師)をこなしている人が多いことも特徴的でした。
フリーランスはどれぐらい働く?稼働日数と稼働時間について
「週の稼働日数を教えてください」と質問したたところ、「5日」が28%で最多となり、次いで「7日」が20.8%でした。
「1日の労働時間を教えてください」という質問には、「1~3時間」が49.5%、次いで「3~6時間」が30.3%となりました。
週5日というのは理解できますが、7日も働いている人が多いのは驚きです。
しかし、約5割の人は1日の稼働時間が3時間以内ですので、無理をしない働き方だからこそ毎日働けるのかもしれません。
自分の決めた時間だけ働くことができるというのも、フリーランスの良いところですね。
フリーランスって稼げるの?直近1年の年収レンジを公開
何といっても気になるのはフリーランスの年収ではないでしょうか。
ずばり「フリーランスとしての直近1年の年収を教えてください」と質問してみました。
フリーランスの収入は独立系か副業系かで大きく変わりますので、分けてみました。
年収レンジ | 独立系 | 副業系 |
---|---|---|
100万円以下 | 41.5% | 87.4% |
101~200万円 | 20.8% | 8.1% |
201~300万円 | 11.5% | 2.2% |
301~400万円 | 11.5% | 0.4% |
401~500万円 | 6.9% | 0.4% |
501~600万円 | 4.6% | 1.5% |
601~700万円 | 0.8% | 0.0% |
901~1000万円 | 0.8% | 0.0% |
1000万円以上 | 1.5% | 0.0% |
独立系フリーランスで最も多い年収レンジは「100万円以下」が41.5%、次いで「101~200万円」が20.8%という結果でした。
独立をしても、多くの人が稼げていないのが分かります。
しかし、そんな中にも1000万円以上稼いでいる人が2人いました。
この2人の職業は、学習塾(50代男性)と飲食業(40代男性)をしている方でした。
その他、500万円以上の人には、広告企画営業やITエンジニア、社会保険労務士、デザイナーをしている方がいました。
フリーランスが抱える悩みや不安で一番多いのは?
会社員には会社員の、フリーランスにはフリーランスの仕事の悩みがあります。
「フリーランスとしての悩みや不安を教えてください」と自由記入方式で回答してもらいました。
一番多かったのは、何と言っても収入に関する悩みでした。
その他、年金や健康面、将来に対する不安も多く聞かれましたので、一部ご紹介いたします。
収入が安定しない
- 安定した収入の見通しがないこと、結果的に生活に支障は出ていないが、会社員のような安定性はないことに不安はあった。自分の時間の都合や気分・状態によって働くペースを調整できることは良いと感じるが、その分自分をしっかり律していかないとパフォーマンスが維持できないと感じた。(30代男性、心理カウンセラー)
- 収入面で前職(正社員)と比べると下がってしまうことと、不安定さの心配があるので、今後、ちゃんと食べていけるのかという不安が常に頭のどこかにあること。自分が事故や病気で動けなくなった時に、仕事をどうしようか、という健康面の不安も同様にあります。(30代女性、不動産管理業)
- この先も良い依頼先になかなか出会えず、収入が増えず、その一方で貯金がどんどん減っていくのを考えると不安です。(40代女性、Webライター)
- 何よりも「安定性」に乏しい。出来高制のため収入にムラがあるし、いつでも積極的に新規の案件を獲得していかないといけないというプレッシャーもある。(40代男性、Webライター)
将来への不安
- 何も保証はありません。自分で責任を取る覚悟が必要です。そして、その覚悟は、今まで積み重ねてきたものが無いと、なかなか身につくものではありません。そして、必ず結果がついてくる保証もありません。綱渡りですが、一度はやってみたかったです。(40代女性、カーテンコーディネーター)
- 勤め人に比べて補償が薄く保険だけでは足りないため、万が一働けなくなった時などにどうすればいいのかという不安は常にある。また現在のコロナ禍で先の見通しが立てづらいことも悩みの一つになっている。(40代男性、社会保険労務士)
- 働いたら働いた分だけ収入にはなりますが、ボーナスや退職金、有給、一般で働く人が当たり前のように受け取るものや保証がないので老後が不安です。(30代女性、音楽講師)
- 保障がないので将来が見えない。このままフリーランスを続けていっていいのかと迷うことがあります。(20代男性、webライター)
40代からフリーランスになるメリット・デメリットついて詳しくみる
頼れる人がいない
- 新規案件の難しさと、作業量、スケジュールが厳しくなった時に対処する方法が極めて少ないこと。(40代男性、ソフトウェアエンジニア)
- 契約が突然無くなってしまったり、パソコンなどの通信トラブルがダメになると全く仕事が出来なくなってしまうことです。自分ですべて対応しなくてはいけないので、人に頼れないのがつらいです。(40代女性、Webライター)
その他
- ずっと一人で作業しているので、メリハリがない。自ら、交流をしにいく必要がある。(30代女性、アクセサリー作家)
- ストレスとの戦い。回避したり解消したりするのが難しい。特にコロナ禍では。(40代女性、グラフィックデザイナー)
- 現在やっている宅配の仕事がAIに奪われないかなと不安に感じています。(40代男性、配送業)
- いつ自分が必要とされなくなるのかは不安。いつまで今の働き方が出来るか。(30代女性、歯科衛生士)
フリーランスという働き方の満足度は?
最後に「フリーランスという働き方の満足度(0-100%)」と聞いたところ、満足度平均は「60%」となりました。
収入面での不満は多かったものの、満足度が高い人の特徴として収入よりも自分に合った生活ができていることや、人間関係の解消、働き方の自由度の高さがが挙げられました。
満足度が高かった人のコメント
- 100%。もちろん業種や経験にもよると思いますが、個人的には非常に満足度の高い働き方となりました。(30代男性、広告企画営業)
- 100%。自分で取り決められる自由度は高く、自分に合った調整ができるのは満足しています。あれこれやる事が自分には一番合った働き方だと実感できています。(40代男性、WEBライター)
- 90%。4年前から日本を離れ、各国を転々とし、現在はバリ島でのスローライフが実現しました。まだまだ理想の収入額には到達していませんが、手に入れた自由・ライフスタイル、ストレスフリーな生活はお金には変えられずとても満足な暮らしをしています。(30代女性、ヨガインストラクター)
- 70%。勤めていた時に求められた会社への帰属意識が必要ないので精神的にも楽になりました。(50代男性、ITエンジニア)
満足度が低かった人のコメント
- 0%。稼げているかという点では無収入なので。しかし、束縛されていた会社員生活から抜け出せて気楽な日々を送っているので実生活は100点。但し、無収入なので、いずれこの生活も破綻するし、結局、肉体労働系のアルバイトをすることになると思う。(50代男性、ライター)
- 20%。働き方は好きですが、収入が低すぎるので。(50代女性、事務)
- 40%。自分の時間で仕事を進められたり仕事内容が楽しいものが多かったりするメリットがある一方で、案件をもらえなければ収入がゼロになるという恐怖と常に隣り合わせでいるというデメリットが大きい。(20代女性、ライター)
調査結果のまとめ
今回の調査結果では、独立系・副業系ともにごく一部の人しか稼げておらず、収入面や将来への不安を持っている人が多いことが分かりました。
しかし同時に、フリーランスを続けている方は収入よりも働き方に満足しているという傾向もみることができました。
会社員を続けるにしても、フリーランスとして独立するにしても、悩みや不満は必ず出てきます。
フリーランスとしてやっていくためには、それなりのスキルと覚悟が必要だということを知っておきましょう。
今回の調査結果は、フリーランスを目指す人にとっては少し厳しいものだったかもしれませんが、参考になれば幸いです。